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香港編

さて学校から帰った横島だが、この時間からがGSの仕事の時間であった

最も基本的には魔鈴が全て仕切っており、横島が単独でする仕事は限られているが……

今のところは書類の整理や自作してるお札の制作など雑用が主な仕事である

もちろん横島の実力があれば一人でも除霊に行けるが、基本的に魔鈴が横島単独での除霊をさせてない

理由は幾つか存在するが免許取得したばかりの横島が目立つのを魔鈴が嫌ったことや、あくまでも学業優先の考えなどが主な理由である

まあ夜間の仕事があれば横島も参加はするが、徹夜するような仕事はほとんどなく未来での美神事務所時代と比べると雲泥の差であった


「お札を自作するGSなんざ始めて見たよ」

そんな学校から帰宅早々お札の制作に入る横島を、暇らしい雪之丞は興味深な様子で見つめている

今時珍しい羽根ペンで特殊な紙に魔法陣と術式を書き込み制作するのだが、霊力の使い方や込め方が結構難しかった

ちなみに横島が作ってるのは元々カオスや魔鈴の技術なので西洋式のお札であり、東洋式のお札とは厳密には別物である


「それを言うなら魔法のほうきも自作できるGSなんて居ないよ。 それにこの破魔札一枚でだいたい五十万はする値段だぞ」

「売ったらボロ儲けだな」

どうやら横島が作ってるのは破魔札だったらしく、出来上がったばかりのお札を見ておおよその市場価格を告げた

横島が現在作っているのは日頃横島や雪之丞が使ってる破魔札であり、低級な悪霊用にかなり威力を落とした物である

おおよそ十分ほどで作ったお札が五十万だと聞くと雪之丞は驚きの表情を見せるが、当然実際には売ることなど出来ない物だった


「お札の制作技術はオカルト技術の中でも秘中の秘だからな。 一般のGSにはとても知ることが出来ないんだよ」

横島はカオスに習いお札を作れるが一般的にお札の制作技術は閉鎖的なオカルト業界でも更に閉鎖的であり、一部の技術を保持する霊能者達が秘匿し続けてる技術である

まあその裏には技術の難易度の高さや利権など複雑な事情があるが、横島も詳しくは知らないし興味もない


「ふーん、ぼったくってるのかと思ったがな」

「高いお札はそれだけ手間がかかるからな。 霊力を込めるのも時間がかかるし大量生産みたいにはいかないんだよ」

基本的に他人を信用しない雪之丞はお札をぼったくりの類だと考えていたらしいが、実際には威力の高いお札は作るのが相当大変なようである


「俺は霊波砲の方がいいな」

「放出系は向き不向きがあるしな。 お前みたいに実戦で乱発出来る能力者は少ないんだよ」

高い割に威力が小さいお札に雪之丞は不満げだが、誰もが雪之丞のような強さがあるなら確かに必要がない物だろう

それに霊波砲が使える霊能者でも、疲労度や能力の相性からお札を好む令子のようなGSも少なくない

そのまま横島と雪之丞はお札のメリットやデメリットを話しながら雑用を熟していく



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