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二年目の春・4

「最低限の知識と経験はボディに入れておいたけどどうだ?」

「……はい。 体の動かし方が自然に分かります。 でも不思議な感覚です。」

そのまま横島とハニワ兵達は各種データを収集しつつ異常がないか慎重に確認していくが、実はこの有機ボディはその昔開発段階で幽体離脱に長けたおキヌにも何度か協力してもらったので横島としてはかなりの自信もある。

ただ問題は茶々丸が有機物といえる肉体が初めてなので慎重を期しているが。


「オッケーだな。 とりあえず明日の夜まで一日そのボディで居てデータ収集かな。 一応専門のハニワ兵を同行させるけどいいか?」

「はい。 構いません。」

そしてしばらくすると体に取り付けられていたデータ収集用の機器が外され茶々丸は自由に動けるようになる。

現状で茶々丸は下着に白い白衣を一枚羽織っただけの病人のような服装だったが、ハニワ兵達が気を聞かせたようでブティックかと言いたくなるほど様々な洋服が用意されていた。

茶々丸は洋服と一緒に用意されていた全身が見れる大きな姿見の鏡に映る姿にまたしばし固まり信じられないような表情をしていたが、ハニワ兵達に促されるままに服を選び着替えていく。


「ねえ、いずれ外でもこの姿になるのよね?」

「ええ、そのつもりっすよ。」

「魔法関係者は大丈夫なの?」

「表向きは表面だけ人に近いボディにしたって言えば大丈夫っすよ。 超さんの新型ボディも表面が限りなく人に近いですし大学部でその手の研究もしてたそうですし。」

一方自分はとんでもない物を見たのではと気付いた刀子は今後の事を考えていた。

近右衛門にも知らせねばならないし魔法関係者には何かしらの訳を考えておかねばならないからだが、横島は超鈴音の研究を利用して超鈴音の技術だということにして誤魔化すつもりらしい。


「でもそれじゃあ超君にはその嘘は通じないよね?」

「少なくともエヴァちゃんを敵に回すことはしないんじゃないっすかね。 それに彼女が麻帆良に居る以上はいずれ自分以外の技術持ちが居ることはバレますよ。 麻帆良総研とかもありますしね。」

利用出来るものは何でも利用するという横島らしい考え方だが高畑は超鈴音にはその嘘は通じないと考えるが、横島は別に超鈴音が疑問を持ってもいいと考えている。

カシオペアもなく計画も潰えた超鈴音は驚異ではないし、彼女がエヴァを恐れてる以上茶々丸に手を出すとは思えなかった。

それにきちんと監視下にはおいているので出し抜かれる心配はないし、何より麻帆良総研など近右衛門の側でも今後の対策として動かねばならないので超鈴音が世に出してしまった技術を中心に技術者や研究者の育成はしなくてはならない。

天才かどうかはともかく聡明な超鈴音がいずれ自分以外の技術持ちがいることに気づくのは時間の問題だった。


「どのみち時間は限られてますからね。 こっちもそれに合わせて動かないと。」

横島の頭の中ではすでに魔法世界の限界とそれを取り巻く二つの世界の今後に移っていた。

あまり派手に動くことは出来ないが諸々の準備を少し加速させないと後手に回るかもしれないと危惧も少しはしている。

まあ横島は感性で考えるだけなので具体的な話は土偶羅と近右衛門達に丸投げするだくこだが。


「マスター!? そっ、そこはダメです! 」

ちなみに横島達から見えないように隣室で着替えている茶々丸だが、エヴァが茶々丸のボディに触れたりしているらしく話だけ聞くと誤解されそうな声を上げて横島達の真面目な話をぶち壊していた。

どうも五感を初めて感じた茶々丸は少し敏感になってるらしい。

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