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二年目の春・4

「これは……。」

そして高畑達の修行を終えた横島は戻って来た茶々丸を連れて研究設備のあるバベルの塔へと移動していた。

ほろ酔い気分のエヴァとチャチャゼロに高畑と刀子も興味本意で着いて来たが、塔の内部の一室に入ると作業台のような場所に寝かされてる人が居て高畑と刀子を驚かせてしまう。

それは一見するとというか見た目は人間にしか見えずに、しかも顔はそのまま茶々丸なのだから驚かずにはいられない。


「こいつは試作型人造人間M666ー003β。 有機物で出来た人型アンドロイドの試作機だよ。」

実は今回の異空間アジト訪問は横島が用意した茶々丸の新型ボディ開発のテストをついでに兼ねることにしている。

茶々丸には新しく用意する予定の新型ボディだが当然開発には茶々丸の魂を含めテストやデータ収集が必要であり、横島はそのテストに使用するボディを倉庫から引っ張り出して来たらしい。


「人にしか見えないわね。 ロボットとかアンドロイドは人間らしくするのが研究目的の一つらしいけど、ここまで来ると人間が手を出していいのか分からなくなるわね。」

相変わらずの魔族特有の毒々しい研究設備に刀子は少し落ち着かない様子であり、まして目の前にあるのは人にしか見えない身体なのだ。


「こいつは前の世界に居る時に俺とカオスって錬金術師のじいさんで作った魂を持つアンドロイド専用の試作型ボディの一つなんすよ。 正直性能は常人と変わらぬ程度しかないんですけど。」

そんな茶々丸のテストに使うボディは元々は人造人間マリアに与える目的で造った新型ボディの試作型だった。

アシュタロス系の技術が手に入ったことで生命創造に類似する有機物にてマリア専用のボディというか肉体を造ろうとした計画であり、最晩年に異空間アジトに居座ったカオスの開発した人造人間シリーズの一つになる。

この試作型ボディは元々人工霊魂であるマリアの魂への負担を極力減らすというコンセプトから、特殊な能力や力は何もなく本当に常人と変わらぬ生活が出来る程度の性能しかない。

そもそもの目的が今までプログラムに頼っていた思考や身体を動かすことを自らの魂と身体で行う為のいわば練習用のボディとして開発した経緯がある。

実は最晩年にカオスが開発した人造人間シリーズはそれなりに種類もあるのだが、自身の人生の集大成をと高性能を求めていたし時期も神魔戦争の頃だったために戦闘能力が高か過ぎたりと茶々丸に貸すには些か物騒なボディが多く今回の試作型が一番安全で無難だという裏事情があったりするが。

ただ現在異空間アジト内で使われてる技術の大半はカオスが自身の魔法科学に現代技術とアシュタロス系の技術を組み合わせて産み出した技術であり、それは今は横島やハニワ兵達に受け継がれている。

正直いくらルシオラの経験や技術が横島に定着したとはいえアシュタロスの技術は更に桁が違い、はっきり言えば横島はそのまま封印しようとしたくらいなのだ。

以前にも少し説明したがそこに噂を聞き付けたカオスが押し掛けるように現れ、自身のボケというか記憶力の喪失などの問題解決の手を貸して欲しいと頼まれたことから始まり現状に至る。

当時の横島としても無理だからと一度は断ったが、カオスにはルシオラとパピリオを一度はテンコマンドメントから助けて貰った借りがあったため渋々協力したのだが。

従って現在の異空間アジトの基礎を造ったのはカオスであり、茶々丸のボディの面倒を見れるのも一応カオスのお陰でもあるといえばそうでもある。


「貴様何でもありだな。」

「俺じゃないって。 アシュタロスとかカオスとか周りが常人には理解出来ないレベルの奴だっただけなんだよ。 俺の場合そんな奴らを見てるから超さんのことあんまり天才に見えんのかもしれんけどな。」

横島の説明に試作型だか何だか知らんが横島は何でもありだと半ば呆れたように呟くエヴァだが、横島は横島で借り物の知識や経験でアシュタロスやカオスと同レベルに見られるのはツライものがあった。

苦笑いを浮かべながら違うからと否定するも、それはエヴァばかりか高畑や刀子に茶々丸までもが横島も普通じゃないんだろうと勝手に理解というか誤解していく。

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