このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

その二

「亜空間ゲートを開くしかあるまい。 魔界追放で済ませたいとこじゃが、現時点ではワシらに魔界のコネがない。 突然フェンリルのコピーなんぞ魔界に送れば問題になりかねない」

カオスの言葉に、横島達の表情が更に厳しいものに変わる


【亜空間ゲート】

それは召喚魔法の亜流とも言える魔法である

特定の神魔を召喚するのが召喚魔法ならば、亜空間ゲートは何もない亜空間と人間界を繋ぐだけの魔法

いわば、時間も空間も何もない場所への門を開くだけである



「それしかないか」

「亜空間ゲートを開くには30秒は時間がかかります。 その間フェンリルを抑えておかなければなりませんが、私と忠夫さんは動けません。 大丈夫ですか?」

横島は覚悟を決めるように話すが、魔鈴は亜空間ゲートを開くまでの時間が不安だった


「ワシとマリアでなんとかしよう。 まさかアレをやる訳にもいくまい」

「それはそうですが…」

自信があるように話すカオスだが、表情とは裏腹にギリギリで成功するかしないかのタイミングだと言うことを、魔鈴はヒシヒシと感じていた


「犬塚殿、フェンリルは亜空間への追放になるが構わないか?」

「はい…、奴は多くの仲間や人を傷付けました。 最早、慈悲は無用でござる」

最後にカオスがジロウに確認して、横島達は最後の戦いに挑んで行く



横島と魔鈴は気配を消して、フェンリルの上空で魔法の準備を始める


「まさか実戦で使う日が来るとはな~ 人生、何が役に立つかわからんな」

大地で暴れるフェンリルを眺めつつ、横島は不思議な気持ちであった

この魔法もまた、元々はルシオラ復活の為の研究の副産物なのだ


「そうですね。 欲を言えば少し練習はしたかったのですが…」

少し不安な表情を浮かべる魔鈴、この魔法はかつて未来で一度だけしか使ったことがない

というか、何処ともわからない亜空間と人界を繋げる魔法など、練習も出来なかったと言うのが本当なのだが…


「さてやるか!」

「はい!」

互いに顔を見合わせて、横島と魔鈴は亜空間ゲートを開く魔法に取り掛かる



そして地上ではカオスとマリアとジロウが、フェンリルに近付いていた


「拙者も手伝います!」

「うむ、我々はフェンリルが横島達に気付かないようにしなくてはならない。 あと、亜空間ゲートは横島達の真下に開く。 最終的にはそこに誘導しなくてはならないから、あまり離れた場所に行かないように頼む」

共に戦うと言ったジロウに簡単に説明するカオス

そして3人は暴れまくるフェンリルに攻撃をして、時間を稼ぐことになる


「犬飼! 目を覚ませ! 貴様の目的は森の破壊なのか!」

ジロウは素早い動きでフェンリルの攻撃から逃れつつ、フェンリルに揺さぶりをかけるべくかつての仲間である犬飼に叫ぶ


「グウォォーン!」

しかしジロウの言葉は届かず、フェンリルはジロウに霊波砲を乱発していく


「霊子バズーカ!!」

一方マリアはジロウと反対側にまわり、普段は使わないような武装を使っていた

未来よりも改良が加えられ霊的な攻撃になっているマリアの武装だが、さすがにフェンリルにはダメージはない


63/100ページ
スキ