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二年目の春・4

「ハルナ、超さんには超さんの理由があるんだと思うよ。」

「ねえ、理由があれば犯罪を犯してもいいの? 過去を変えるなんて犯罪と同じじゃん。 私は許せないわよ。」

クラスメートをぶっ飛ばしたいと乱暴なことを口にしたハルナにのどかは、超にも理由があるのだろうとの自身の考えを口にするもハルナは理由を問わず許せないと語る。

夕映は人類の滅亡などの事態ならば別だと語ったがハルナはそれでも一方的な歴史改変は許していいとは考えてない。


「あんたたち甘いのよ。 未来の為に死ねと言われたら死ぬの? 好きな男とも別れて苦難の人生を歩めって言われたらそうするの? しかも魔法公開は防いだかもしれないけど、超さんがこの二年で好き勝手にした後始末は誰がするの? すでに歴史を変えて不幸になってるかもしれない人だって居るかもしれないし、彼女の発明を世に産み出すはずだった人は横取りされてるかもしれないのよ!」

この時、夕映とのどかはまだ超鈴音を信じていたし本当に自分達を踏み台にしようとしたとは信じられない部分もあった。

だがハルナは現時点でもすでに許せる段階ではないと告げると夕映も顔負けの厳しい口調でその訳を一つ一つ並べていく。


「確かにそうかもしれませんが……。」

日頃ふざけてばかりのハルナの真面目な本音に夕映とのどかはポカーンとしてしまい反論出来ない。


「世の中やったもん勝ちなのかもしれないけどさ。 阻止したから反省したからって簡単に許していいの? まっ、私にはどうすることも出来ないしする気もないけどさ。」

ただそんなハルナにしてみると、高畑から始まり夕映とのどかまで超鈴音に同情的な感じなのが個人的に気になっただけらしいが。

ハルナは元々超鈴音との関係は良くもなく悪くもなくクラスで一緒に騒ぐ時もあるが、学校の外で会うかと言われると会わない程度の関係でしかない。

正直安易に同情すれば友人達は怪我では済まないのではと心配していただけだったりするが、高畑や横島はともかく今日の話の時に終始無言だった刀子が若干不満げだったのに気付いているので全体として危機感を感じてるほどではなかった。

そして夕映とのどかは珍しいハルナの真面目な姿に驚きつつも、そんな話をしながらも怪しい同人誌を描く手を止めない様子がなんだか全部を台無しにしてる気がしてならない。

これがなければ尊敬出来るのにとのどかは特に思うが、横島のようにハルナも一種の変人なんだろうと密かに思う。



「夕映とさやかさん凄かったね。」

「お姉さまは普段はあまりでしゃばらない人なのですが。 問題が予想以上に危険なのだと思いますわ。」

一方あやか・千鶴・夏美の部屋でも同じく超鈴音の話をしていたが、こちらは半ば他人事な夏美が友人である夕映とさやかの話の流れの早さに感心していた。

正月移行時々顔を合わせて一緒に異空間アジトに遊びに行くさやかだが、日頃はあまりでしゃばらずにみんなに合わせて楽しんでるイメージがあったらしい。

あやかと千鶴はさやかを昔から知っているので驚きはないが、超鈴音の件が表面上の話以上に危険なのは理解している。


「そんなに危険なの?」

「表沙汰にはなってませんが超さんの資産は数十億を軽く越えてるとの調査結果があるんですわ。 しかも彼女が未来から来たとなると我が雪広グループの調査能力を越えてる可能性も高いですし実態は更に……。 まあ魔法公開後の目的が分からないので迂闊なことは言えませんが魔法公開は阻止されても警戒は今後も必要かもしれません。」

ただあやかと千鶴は超鈴音の危険性にあまり表情が優れず、一人危機感のない夏美との落差が激しい。

現時点ではあやかと千鶴は夕映達とは少し違った視点から見ており、超鈴音の資金力と技術力に未来知識などが加わると今後も安易に気を許せないと言い切る。

魔法協会と繋がる雪広グループでは以前から超鈴音に関する情報収集も行っており、機密情報として隠されてる部分を除いても数十億の資金があるらしい。

高畑は当面は自分が責任を持って指導すると少女達に語ったが本当にそれだけで大丈夫なのか少し不安になってしまう。

現状では詳しく聞けなかったので何とも言えないが笑って済ませることが出来る段階ではないし、超鈴音が今後その資金や技術力に未来知識で別の角度から魔法公開かまたは本来の目的の為に動かないとは言い切れない。

正直目的を聞かなければ対処のしょうがないが、すでに終わった話として水には流せないのがあやかと千鶴の立場だった。



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