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二年目の春・4

「それで今回僕達は超君の魔法を公開する計画を阻止する為に動いていたんだ。」

結局少女達にどこまで秘密を明かすかは高畑に委ねられたが、高畑は現時点で全て明かすよりは段階的に少しずつ教えるべきだと考えていた。


「魔法の公開かぁ。 誰もが普通に魔法を使える世の中になれば多少は便利になるのかな?」

「それはどうでしょう。 高畑先生や刀子さんに横島さんとエヴァンジェリンさんはあくまでも別格です。 一般的な魔法関係者の様子を見るとそれほど変わらないでしょうし、公開に際して世の中が混乱したり魔法の悪用などマイナス面も多々あるでしょうからトータルで考えれば私達にはマイナス面の方が多い気がするです。」

そんな高畑が教えたのは超の素性と魔法の公開による歴史の改変に未来から来たのが彼女一人のみであるということくらいで、少女達はその情報から自分達で考えて話を始めるも美砂は単純に魔法が公開されれば世の中が多少は変わるかなと少し楽観的な意見を口にする。

実のところ魔法の習得の大変さや使い勝手の微妙さから楽観的な考えをする彼女達ですらあまり期待はしてないが、そこに追い討ちをかけるように意見に疑問を投げ掛けたのはやはり夕映であった。


「そうね。 過去を見ても歴史的な世界の転換期には最低十年から長ければ半世紀は混乱が続くと思うわ。 しかも魔法の秘匿は世界史の闇そのもの。 悪く言えば今まで何も知らぬ人々を騙していたとも言える。 きちんとした国際的な議論と入念な準備が無ければどうなるか予想もつかないわね。」

そして夕映の意見を補足するように雪広さやかが超鈴音による一方的な魔法公開が行われた際の混乱を推測すると、最低十年という長い期間に誰もが表情を強張らせる。


「もしそんな無謀な計画が許されるとすれば人類の滅亡のような究極的事態ですが、そもそもの前提として歴史も未来も一つでない以上は彼女の計画を私達は認められないでしょう。 未来を選ぶのは今この世界を生きてる人々なのです。」

「それに人類の滅亡のような危機の可能性は限りなく薄いわね。 確かに彼女は天才に見えたわ。 でも彼女の理論や技術が未来のものだとすると天才とまでは言い切れなくなる。 天才に近い優秀な子供が一人で過去の世界を変えれると考えるのが未来の総意だとは私には思えないわ。 個人または一部の勢力の過激派のような人達の実験的な計画だと考える方がまだ筋が通るわね。」

いつの間にか会話はさやかと夕映の独演会のようになっていた。

次から次へと互いの推測を補いながら会話していく二人に、周りは口を挟むことは出来ないばかりか半数の少女は話の流れにさえ着いていけてない。


「あの……、超さんの歴史に過去に行った超さん本人は居るんですか?」

「超君と横島君は居ないという話だよ。 実は彼女の歴史は僕もほとんど見てないんだけど。 知らない方がいいことがたくさんあるらしくってね。 多分全部知ってるのは学園長と横島君くらいじゃないかな?」

そんな中、二人以外で高畑に確認するように疑問を投げ掛けたのはのどかであった。

のどかは二人の会話に着いていけていた一人で自身も考えていたが、超鈴音の歴史に超鈴音自身が居るか居ないかでだいぶ話が変わると気付いたらしい。

しかしそんなのどかの疑問は超鈴音の歴史には超鈴音ばかりか横島も居ないという少女達にとっては衝撃的な事実を浮かび上がらせ、少女達の視線が半ば他人事のようにエヴァとチャチャゼロと酒を飲んでいる横島に集まる。

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