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二年目の春・4

「まっ、そんなとこでしょうね。」

その後超鈴音の処遇が決まったことは横島や茶々丸に雪広家や那波家にはすぐに伝えられた。

特に横島と茶々丸には休日にわざわざ出向いてその場に立ち会っていた刀子が直接店に来て伝えているが、ホッとした表情の茶々丸と対称的に横島の反応はあっさりとしたものである。


「正直あそこまで庇うのって、学園長先生と高畑先生だけよ。 あの子達は感謝すべきね。」

「根が善人だけに扱いが難しいんっすよね。」

もし超鈴音が完全に未来の為に過去を踏み台として当然だと考えるような人ならば、もっと問題は簡単に片付いたであろう。

ただ刀子は仕方ないと分かっていても獅子身中の虫を生かすような結果に内心では不満と不安があるらしい。


「ぶっちゃけ俺としては超さん達が俺達に迷惑をかけないで魔法世界を救うなら大歓迎っすよ。 革命がしたいなら魔法世界でやりゃあいいんですから。 その可能性が残ったことは悪くはないと思いますよ。」

「物凄い本音ね。 というかこの段階でまだそう思えるのって多分横島君くらいよ。」

この時ちょうど木乃香達が休憩で居ない厨房で横島と茶々丸は刀子から結果を聞いていたが、不安そうな刀子を励ますつもりか横島はこの期に及んでもまだ超鈴音による魔法世界救済を期待するような発言をして刀子を呆れさせる。

横島は最早超鈴音は驚異ではないと判断しているが、現状でもまだ魔法世界救済にやる気があるならばそれはそれで面白いと思ってるらしい。


「メガロメセンブリアも帝国も全部ぶっ壊して一からやり直しさせればいいんっすよ。 向こうが本気で世界の為に一つになるならば、どさくさ紛れに魔法世界の崩壊を阻止するくらいならこっそりとやってもいいですし。」

「そんなこと出来るの? 絶対こっちに飛び火するわよ。」

「今のままじゃ無理でしょうね。 ただどのみち魔法世界が崩壊をすれば飛び火はしますから。 まあ超さんには本格的な革命まで起こす力も才覚もないですから現実味はありませんよ。」

正直刀子は超鈴音を信じられないのでそんな展開は御免だと言いたげであるが、横島としては誰かが魔法世界を一からやり直しさせるレベルで変革して欲しいと冗談混じりに言う。

もちろん横島も現実味のある話としてしてる訳ではなく願望を口にしてるだけで、誰かが犠牲を厭わず魔法世界を改革し一つに纏めるくらい混乱したならばまだ希望はあると無責任な発言をしてるだけだが。


「やはり超には魔法世界を救うことは無理なのですか?」

「うーん、真面目に答えるとかなり難しいかな。 未来知識とか技術があっても、多分超さんだと大衆の支持が得られないんだよ。 世界の終わりが来るって叫んでも誰も信用せんだろ。 まあ魔法世界で暗躍して世界を変えるって手段もない訳じゃないけど、それ二十年前に前例あるから警戒されてるし。」

そんな横島の与太話に刀子はあまり本気にせず苦笑いを浮かべていたが、茶々丸は少し本気にしたのか真面目に疑問をぶつけると横島は少し考えてから答える。

結局横島の言いたいことは誰かが現状の歪んだ魔法世界を改革しみんなで未来を勝ち取るような土壌を作って欲しいとのことだが、正直なところそれが出来る人間など超鈴音や横島を含めて今のところ存在しない。

そもそも正攻法で世界を救えるならクルトを初めとした魔法世界の人々がそれを実行しているし、あとは犠牲がどれだけ出るか分からないような非合法な手段しかないのだ。


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