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その二

ゴオオオーーン!!!

フェンリルの高らかな雄叫びが辺りに響き渡る

その雄叫びは圧倒的な霊力と殺気に満ちており、横島達のみならず離れた場所に居た令子達にまで届いていた


「貴様らを喰らって世界を飲み干してやるわ!」

フェンリルは横島と魔鈴を睨みつけ、一足で一気に距離を詰めて行く


「クッ…」

横島と魔鈴はとっさに上空に飛び上がった

未来でフェンリルの強さを体験している横島でさえ恐怖を感じるフェンリルの強さは凄まじい


「ハッ!」

ドゴオオーン!

横島と魔鈴は上空に逃げると同時に霊波砲を放つが、フェンリルの目から放たれた強力な霊波砲に迎撃されてしまう


「忠夫さん!」

「アレをやるしかないだろうな…」

「しかし、もう少し弱らせて押さえなければ無理です」

横島と魔鈴は上空でフェンリルの霊波砲をかわしつつ相談するが、このままでは横島達の作戦を決行出来ない

二人は出来るだけ近付き過ぎないように、フェンリルを攻撃して行く



その頃、西条達はアルテミス召喚魔法陣の場所に到着していた
 
「魔法陣は一応完成してるが、最終確認はまだだ! 手分けして確認してくれ!」

西条の言葉に慌てた令子達は、急いで魔法陣の確認をしていく


この手の召喚魔法陣は、非常に繊細であり複雑なのだ

一箇所でも間違えると召喚はもちろん出来ないし、万が一召喚出来たとしても何を呼び出すかわからない

間違って古代の悪魔など呼び出したら、最悪敵が増えるだけなのだ


「急がないと手遅れになるワケ!」

焦れば焦るほど確認作業が遅くなるが、それでも急がないと横島達がいつまでも抑えれるはずがないとエミは思っていた



「貴様ら! ちょこまかと逃げ回りおって!!」

一方フェンリルは、その巨体にも関わらず素早い動きとジャンプで横島と魔鈴を喰らおうとするが、一向に喰らえずに怒りを爆発させている


「未来より強いな」

「相性の問題だと思います。 月と狩りの女神であるアルテミスはフェンリルの天敵。 私達はいくら霊力が強くても、力の質が神族と違うので相性が良くありません」

横島と魔鈴は戦いながらフェンリルの力や戦い方を計っていたが、自分達の力があまり効果的でないことに気が付いていた

かなり強力な霊波砲にも関わらず、フェンリルのダメージはあまり酷くないのだ

それでもダメージを与えてる時点で未来とは大違いなのだが、予想よりもダメージが少ないことに戸惑いも感じていた


「アルテミスを待つか? それとも…」

横島と魔鈴がフェンリルの攻撃をかわしながらそんな話をしていると、突如フェンリルの動きが止まる


「見つけたぞ!」

フェンリルは魔法陣の方に視線を向けるとニヤリと笑みを浮かべて走り出す


「まずいぞ! 西条殿達が見つかった!」

心眼の声に驚いた横島と魔鈴は、急いでフェンリルを止めようと後を追う


「やばいわっ! こっちに来る!」

一方フェンリルの走る地響きですぐに自分達が狙われてることに気が付く西条達だが、切り札である魔法陣を捨てて逃げるのに一瞬躊躇してしまう

そしてその一瞬で、フェンリルのスピードから逃げれないことを悟っていた


「ここは拙者が…」

ジロウは一人前に出て西条達を逃がそうとする

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