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二年目の春・4

「明日の夜は麻帆良ね。」

その頃、明日菜と木乃香は部屋からの夜景を眺めて最後の夜を楽しんでいた。


「ウチはやっぱり麻帆良が一番や。」

「うーん、そうね。 観光しに来るならまた来たいけど住みたいとはあんまり。 疲れそうよね。 それにタマちゃんみたいな子供が一人で散歩も出来ない街はちょっとね。」

世界でも有数の観光地であるハワイは二人にとって新鮮で新しい体験の連続だったが、木乃香は改めて麻帆良が一番いいと確信したようで明日菜もそれに同意する。

観光客などが多いせいもあるかもしれないが、ちょっと目線を外して見ると素晴らしい観光地の負の側面が見えなくもない。

何より治安の問題から今一つ気が休まらないというのが最大のネックだった。


「麻帆良ってみんな優しいのよね。」

相対的に二人は麻帆良の良さを再認識するが、明日菜なんかは以前は気付かなかった麻帆良の大人達の優しさをここに来て改めて感じている。

タマモなどその典型で散歩をしてれば声をかけてあげる大人がたくさん居て、街のみんなで優しく見守っているというのが現状なのだ。


「ハワイで治安がええ方やって言うもんなー。」

加えてハワイは外国ではまだ治安がいい方だと言われてるので、他はどんだけ危険なんだと二人はまだ見ぬ外国に何とも言えない感情を持つ。

よく海外旅行に行くという話は聞くが海外に移住するという話は仕事での海外赴任などを除けば、顔が売れて日本では住みにくいような芸能人以外はほとんど聞かない。

結局外国とは旅行で行くくらいがちょうどいいんだろうなと理解することになった。


実は本来の歴史では修学旅行で実戦を経験することで日本国内でも危険な目に合う二人だが、この世界の二人は近右衛門達の努力によりそれがないのでより外国の危険性に敏感になり麻帆良や日本を安全なんだと感じる。

加えてネギと出会わなかったことで西洋魔法使いや西洋魔法や外国人そのものへの興味や認識も微妙に違っていて、横島や刀子がメガロメセンブリア人にいい印象がないことも相まって親近感を全く感じてなくむしろハニワ兵に親近感を感じている有り様だった。

それと常に魔法使いとして魔法世界の側の立場で物事を見ていたネギと異世界出身とは言え日本人としての立場で物事を見ている横島の違いは少女達への影響が非常に大きく、明日菜と木乃香は魔法世界という遠くではなく自分達を守ってくれている大人達に更に目を向けていくことになる。

全ては誰かが狙った訳ではないただの偶然なのだが、結果として木乃香達は近右衛門達魔法協会の人達の印象がちょっぴりよくなり魔法世界なんかとは更に縁遠い存在となっていくきっかけとなる。

まあすでに明日菜がかつての祖国の復興をするなんて未来は存在しないし木乃香が立派な魔法使いになる未来も存在しないので今更なことではあったが。



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