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二年目の春・4

「困ったわね。」

同じ頃すでに夜を迎えていた麻帆良の近衛邸には雪広家と那波家と横島と芦優太郎に加えて京都の詠春と穂乃香がやって来ていて久々にフルメンバーが揃っていた。

この夜急遽集まった一同の議題は超鈴音の一件に勘づいた少女達への対応である。


「流石の天才少女も自分の想定出来ないことには弱いか。 まあ子供だしね。 自分が手段を選ばないのに相手は同じことをするはずがないと考えてる時点でちょっとね。」

「気付ける状況は前からあったけどこのタイミングで気付かれるとは。 しかも下手に騒ぎを大きくしなかったことと言い、この件だけを見るとどっちが大人か分からないよ。」

ついでに超鈴音に関する報告もされたが、予想外の学園側の動きに対する超鈴音の行動はお世辞にも評価出来るものではない。

天才の名を思わせるほどの行動をするかと警戒していたが、結局は迷い逃げ出そうとして捕まるという程度だったのだ。

しかも少女達ばかりか他のクラスメートにまで何かあったと察知された超鈴音の評価は警戒心が先だって高かった事前評価と比べると確実に落ちていて、代わりにあやかと千鶴に夕映とのどかの評価が上がっている。


「最後まで余計なことをしてくれたわい。」

まあ未来ある少女達の成長を実感するのは悪くないが、問題なのは少女達には流石にまだ魔法世界の真相やら裏側を話すには時期尚早だということだった。

ただここで難しいのは少女達が真相を教えてはダメなほど子供でもないことで、現時点で話してもそれなりに受け入れて消化出来る可能性が高いことだろう。

しかしそれでも未来も決めてない少女達には教えたくないのが親心であり、理想は二十歳くらいまでは何も知らせずに育てたいというところがある。


「あの子達に何処まで話すかを決める前にその超鈴音という少女はどうするのですか? 下手に残しておけば彼女から秘密が漏れるのでは?」

少女達が麻帆良に帰ってくれば超鈴音の研究室や超包子に査察が入ったのを知られるし、尋常なことではないとバレてしまい最早子供だましの説明では納得しない状況だった。

だがここで詠春は少女達の問題の前に超鈴音の処分を義理の父である近右衛門に尋ねた。

ナギの子孫だとは聞くので個人的にも気にならなくもないが、正直なところ客観的に聞いた話だとテロリストでしかなく娘の周りに置くのは心配だという方が大きい。


「大人しく反省するなら未来に返したいんじゃがのう。」

「今回の件に対する対応を見ると意外に場当たり的だし現状維持なんかの甘い処分は無理だろうな。」

一方詠春に超の処分を聞かれた近右衛門はしばらく無言で周りの話を聞いていたが、少し困った表情を浮かべて出来れば未来に返したいと告げる。

本音を言えば厄介払い以外の何物でもないが未成年の子供だけに厳罰に処したり命を奪うのはあまりやりたくないのが本音であり、加えて未来から超の他にもタイムマシンでこの時代に来る存在も一応考慮しなくてはならない。

あまり厳しい処分をして彼女の未来の世界を敵に回したくないと考えると、下手に処分や再教育をするよりは未来に返した方が無難ではあった。

正直ハワイでの超鈴音の場当たり的な行動を見ていると今後娘達の周りに置くのは不安だというのが親達の心情であり、未来に返すにしろこの時代に置くにしても現状維持の甘い処分は止めて欲しいというのが本音のようである。

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