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二年目の春・4

同じ頃世界を救う為の計画が頓挫し脱出することすら出来ない状況に陥った超と葉加瀬の二人は、無言のままうなだられて自分達の敗北を痛感していた。

歴史とは勝者が作るものであり勝てば官軍負ければ賊軍だと言ったのは超自身であるが、二人はまさしく賊軍のテロリストとなったのは葉加瀬にも分かる事実である。

計画は穴どころか抜け道だらけだったのは超としては自覚はしているものの、未来の歴史とこの時代に来てから調査した関東魔法協会の情報では少なくともここまで無惨な結果にはならないはずであった。

誤算を上げればキリがなくネギ・スプリングフィールドが麻帆良に来なかったことはもちろん大きい誤算だが、高畑が麻帆良に目を向けるようになったこともかなり大きな誤算なのではと今になって思う。

いかに歴史に残る偉人ネギ・スプリングフィールドとてこの時代はまだ世間知らずの子供でしかなく、彼ならばもう少しやりようがあったと考えてしまうらしい。

高畑に関しては現役バリバリの英雄であるが正直完全なる世界との戦いには熱心でも、教師としては節穴としか思えぬほど自分達のことを見てなかった。


「影の担任カ。」

「なんですそれ?」

「横島サンが中等部教師陣から密かに呼ばれているアダ名ヨ。 私達のクラスの成績を上げて麻帆良祭の出し物で成功を収めたのがあの人のおかげなのは周知の事実ネ。 出張ばかりの高畑先生に代わり学校に来てくれないかとの冗談が少し流行っていたそうヨ。」

超は高畑が昨年の後半から変化したのに気付いていたがあまり警戒しなかったことが敗因の一つかと考えるが、そもそも高畑が変化したと思われる原因は二つあり一つはクルト・ゲーデルによるネギの政治利用でありもう一つは横島の存在だった。


「それに高畑先生に家族とは何かと教えたのは横島サンとタマモネ。」

部屋に戻って以来一切口を開かず無言だった超が最初に口にした言葉は、影の担任という葉加瀬には聞き覚えのない言葉であった。

影の担任というアダ名は教師陣の雑談中の冗談から生まれたアダ名で生徒はほとんど知らないはずだが、超鈴音は偶然とはいえ知っていたらしい。

高畑が麻帆良に目を向けるきっかけを作ったのはそんな横島であり、そして自分達と対峙しても迷いすら見せぬほどになったのがこれまた横島とタマモなのだと超は理解している。


「私達の最終目的が魔法世界の救済だと知られたのはいつカナ?」

いろいろ考えつつ少なくとも一年前の高畑ならばもう少しやりようがあったかもしれないと思う超だが、そんな状況の変化よりも根本的な情報洩れについて指摘する。

先程高畑は麻帆良には手を出さないと言った超に対し自ら姫御子のことを口にしたのだ。

あのとき超は五月か話が漏れたのかと思ったが空港で待ち受けていたことから考えると時間が合わないし、何より高畑が迷いや驚きすらない様子だったことから事前に知っていた可能性が高いと見ていた。


「そういえば……。」

「高畑先生は魔法は使えないネ。 空港での待ち伏せは転移魔法の札でも使えばいいが、行き先は本当に私と葉加瀬しか知らないはず。 行動が読まれたとも考えられるが私達はかなり厳重に監視されてると考えた方がいいヨ。 もしかすればこの会話も聞かれてる可能性も。」

超は葉加瀬を疑ってはいなく彼女が情報を漏らさぬ限りは答えとして出てくるのは、自分達はずいぶん前から監視されていた可能性だ。

少なくとも今年に入り魔法協会のシステムやサーバーが物理的に外部からの接続不可能になった頃には自分達の監視が始まっていた可能性が高いと見ている。

少数で奇襲のように世界を変えようとする超鈴音にとって情報漏れは致命的で、いくら策を練ろうとも片っ端から漏れてるのでは話にならなかった。

そして誰が自分達に疑念を抱き誰が自分達を調べていたのか、超はその見事なやり方に誰も教えてくれないのは理解しつつも会ってみたいと思ってしまう。


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