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二年目の春・3

「本当にそうでしょうか? 私には明日菜さん達が超さんの未来や計画とは別の未来を作り上げていく気がしますよ。」

「魔法世界を犠牲にする未来カ? 現実問題として魔法世界を崩壊から救うには明日菜サンの犠牲と地球側の多大な協力が必要ネ。 仮に横島サンが高畑先生やエヴァンジェリンクラスの実力者でもそれは変わらないヨ。 あの人にそれが出来るカ?」

「やっぱり超さんは魔法世界が第一なんですね。」

最早互いに引けぬところまで本音をぶちまけていたが、結局のところ超鈴音は魔法世界の救済が第一で明日菜を犠牲にすると平然と言い切る姿に五月は思わず涙が込み上げて来てしまう。

分かっていたこととはいえ二年も一緒に居たクラスメートを世界の犠牲するという超鈴音に、五月は生まれ育った世界が全く違うんだと改めて痛感する。


「そうヨ。 結局人は自分の守りたいモノを守るだけネ。 私は何がなんでも魔法世界を守り未来を変えたいネ。」

込み上げた涙がすっとこぼれ落ちる五月にも超は顔色一つ変えぬまま、自分の目的を口にしてそれが全てだと言い切ってしまった。


「少なくするとはいえ犠牲は必ず出るネ。 ネギ・スプリングフィールドも居ない現状では私がやるしかないのだヨ。」

ある意味これは歴史が変わった負の側面かもしれない。

超が未来を託したかったネギは居なく、その代わりにと期待した茶々丸でさえも目の前に立ちはだかる前にゲームオーバーとなってしまったことが超を追い詰めたのだろう。

戦うどころか挑戦する前に敗北を認められるほど超鈴音は諦めがいい人ではないらしい。


「残念です。 私は超さんと共に明日を見たかっただけなのに。 超さんは明日ではなく昨日しか見てない。 私は高畑先生に全てを話してきます。 それで全て終わりです。」

超と五月は互いに譲れない一線を越えてしまった。

あまりの事態に見ているしか出来ない葉加瀬をチラリと見た五月は、立ち上がると自ら超鈴音の計画を終わらせると告げて部屋を出て行ってしまう。


「どっ、どうしましょう!?」

「どのみち計画は失敗ネ。 五月にはここで別れてもらった方がいいヨ。」

茶々丸に続き五月までもが自分の元を去ったことに超は心の奥底では寂しさが込み上げてくるも、それでも引けぬと自らの心を抑え動揺する葉加瀬を落ち着かせた。

そして超は最後の決断を葉加瀬だけに伝えることになる。


「四葉君はギリギリで踏みとどまったか。」

一方超達を監視していた高畑はホテルの自室で超達の会話を聞いていたが、本当にギリギリのところで踏み止まった五月にホッとしていた。

担任として彼女達の将来を案じるだけにここで踏み止まると弁護が出来るというのが本音だ。

後は五月が宣言どおり全てを打ち明けてくれれば五月の処遇は軽く出来ると安堵する。


「ここで追い詰めないと情報の秘匿は難しいし、追い詰めたら納得出来ないか。 難しいな。」

ただ残る超と葉加瀬に関してはどうしようもないというのが悔しいが現実だった。

高畑としてもなにもしてない段階で諦め納得するとは思えないが、超達の計画に乗るのは危険すぎた。

結局自分達も力で守るしかない現実に悲しいものを感じずには居られなかった。


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