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二年目の春・3

「やはりカ。」

「そんな! 朝の定時通信はあったんですよね?」

一方古菲を置いてホテルに帰った超鈴音と葉加瀬と五月は茶々丸二号機や秘匿拠点防衛に置いておいたロボット兵器との連絡を取ろうとしたが、すでに連絡不能になっていて葉加瀬を驚かせるも超は半ば予想した範囲のようで驚きはない。

元々茶々丸二号機を初めとしたロボット兵器はすでに確保され異空間アジトに運ばれていたので、事態の発覚までは土偶羅が代わりに定時通信をして誤魔化していたが表の査察の開始によりそれも不要になったので超達からすると突然連絡が取れなくなっていた。


「査察と同時に拠点もかなり制圧されたと見て間違いないネ。 少し魔法協会情報部を舐めていたカ?」

「でも、あの誰も入らない閉鎖された地下がなんで見つかったんです? 魔法使いも寄り付かないのに。」

「それはさほど難しく考える必要はないネ。 私達が監視されていただけだと思うヨ。 防犯カメラ・式神に使い魔といろいろ合わせれば私達では気付くことは出来なくても無理はないネ。」

超は近右衛門が容疑だけで表で動くほど愚かではないと考えていて、動いた以上はかなり知られてる可能性が高いと思う。

実際研究室や秘匿拠点まで制圧されたならばパソコンなどのデータに掛けたプロテクトを解除するのにこの時代では早くて数週間から下手すると年単位で時間がかかるはずなので、計画の詳細は知られてないかと思うが大量のロボット兵器が見つかれば言い訳など出来ない。

葉加瀬は何故こんな事態にと頭を抱えているが超はシンプルに自分達が監視されていたのだと悟る。

無論超も葉加瀬も秘匿拠点の出入りは細心の注意を払っていたが、それでも二人は魔法や武術の達人ではないので方法さえ問わなければ監視されても気付けないのだと理解していた。

それに計画は知らせてないが少数の工学部の学生には麻帆良祭のシークレットイベントの準備と称して、すでにロボット兵器の部品の組み立てや資材搬入など地下でさせていたので気付かれたことは不思議ではない。


「直接的な原因は茶々丸を自由にしたことでは?」

「それは違うネ。 時間的に考えて私達はもっと前から監視されていたと考えるべきだヨ。 茶々丸が反旗を翻したのはエヴァンジェリンが原因で、そのエヴァンジェリンが学園長に情報を漏らしたのかもしれないネ。」

最早今年の麻帆良祭での計画続行は不可能な中、葉加瀬は悔しいのか超が茶々丸を自由にしたことが失敗の直接的な原因ではと口にするが超はそれを否定する。

そもそも超達の計画は知らなくてもエヴァならば何やらたくらんでることくらいは気付いていただろうし、それを誰かに話すか黙ってるかはエヴァ次第と言えた。


「そんな……、何年も苦しめた相手に何故情報を!?」

「エヴァンジェリンはタマモが麻帆良に来て以降変わったネ。 あの子が学園長とエヴァンジェリンの十五年を埋めたのだと思うヨ。」

もし仮に呪われたまま孤独の中に生きてれば第三者に話すなどなかったろうし、超の歴史のように呪われたままでもネギなどの親しい者が出来ても積極的に漏らしはしなかっただろう。

だが現実は近右衛門が自らの手で呪いを解除しエヴァは十年以上苦しめられた恨みを晴らすどころか、今までと変わりなく呪われたふりをして普通に生活している。

何故変わったのか正直なところ超鈴にも推測しか出来ないが、原因の一つが超鈴音がずっと警戒していた彼女の歴史には居ない横島の元に居る幼子なのだから超は歴史の皮肉を感じずには居られない。

しかもその幼子を家族のように育てているのが木乃香達なのだから、超は間接的ではあるが木乃香達に負けたような気がしてならなかった。


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