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二年目の春・3

「うむ……、困ったのう。 まさかあの子達にまでこの時点で気付かれるとは……。」

そしてこの日は麻帆良学園事務局で仕事をしていた近右衛門だが、横島から夕映達に超鈴音の件が一部が気づかれたと連絡を受けて頭を悩ませていた。

実は近右衛門の元には二日前に高畑からもあやかと千鶴に気付かれたと連絡が来ていたものの、雪広家と那波家の娘だけならば致し方ないと考えていたのだ。

まあ口止めをしなかったので夕映とのどかに情報が伝わったのは致し方ないが、今度は偶然一緒だった古菲から情報が漏れてただ事ではないと気づかれたのは地味に痛い。


「所詮は子供か。」

超鈴音に関しては良くも悪くも随分評価していた近右衛門であるが、茶々丸の離反以降のドタバタを見ていると所詮は子供なのだと今更ながらに感じている。

無論あやか達や夕映達は横島の周りに居るからか年の割に鋭いのは言うまでもないが、 それでも古菲の前であれこれと口走る超や葉加瀬の迂闊さには彼女達の底が知れた気がした。

この程度のトラブルで情報を漏らし動揺するような者に世界は変えられないだろう。

元々計画自体に懐疑的な近右衛門であるが超鈴音の人としての底が見えたことで、なんとも複雑な心境にならざるを得なかった。


「さてさて、問題は木乃香達か。」

ただ超鈴音の件は今更評価が多少変わっても方針は変わらないので構わないが、問題は少女達にどこまで超鈴音の計画とその背景を話すかである。

この件は新たに雪広家や那波家とも話し合わねばならないことだが、判断が難しいのは背景に魔法世界の崩壊があるからだった。

明日菜の素性だけは何があっても話す気はないが、それを抜きにしても子供達に聞かせるような話ではない。

近右衛門が一つ気になっていたのは明日菜は元々魔法世界との繋がりが深く、他の少女達も本来ならば麻帆良に来たネギ・スプリングフィールドと共に魔法世界に関わる運命だったということである。

下手に真相を打ち明けて少女達が良心から魔法世界を救いたいなどと言い出して、魔法世界にこちらから関わるような事態は避けたいのだ。

以前横島と土偶羅がちらりと歴史の修正力と言っていたこともあり、孫娘と友人達を歴史の闇とも言える魔法世界の問題に関わらせるなど例え魔法世界を見殺しにすることになっても近右衛門はごめんであった。

縁もゆかりもない魔法世界よりも孫娘達の幸せを守りたい。

この場合は困ったことに横島には本気になれば魔法世界を救う力があるのも地味に問題になる。


「世界を救ってハッピーエンドになるならば構わんのだが……。」

問題は救うことより救った後になる。

魔法世界を救ったことにより世界が良くなればいいが、そんな保証はないし下手すれば魔法世界と地球が争う未来とてない訳ではない。

まあ仮定の話をしても仕方ないが、近右衛門は孫娘達の幸せと同時に横島にもそんな世界を救ったあとの責任を負わせたくなかった。

魔法世界の人々が世界を救う為に必死になりそれでもどうしようもないのならば、近右衛門も横島に頼むなりするだろうが横島はあくまで脇役でなくてはならないと思っている。

少女達はそこを理解出来るだろうかと近右衛門は一人頭を悩ませることになる。

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