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二年目の春・3

一方何も知らない木乃香達は普通に昼食を食べ終えてアラモアナショッピングセンターで買い物を楽しんでいた。

一部には日本でもある有名なブランドショップなどがあるものの、大半は始めてみる物ばかりなため見てるだけでも楽しい。


「派手な物とかおっきいものが多いですね。」

「アメリカの文化なのでしょう。 アメリカは広いですからね。 狭い日本と違い車なども大きいと言いますから。」

どうせだからお土産はここで買おうということになっていたので定番な土産物から普通にある洋服や雑貨などいろいろ見ていくが、日本との文化やスケールの違いは大きい。

さよなんかはお土産を探しつつもそんな派手な物や大きい物に興味津々で手に取ったりもするが、お土産にするには少し不向きな物が大半で自身が楽しんでるだけであった。

ハワイのお土産の定番はナッツやチョコやクッキーなどのお菓子が定番だが、こちらは正直当たり外れと言っては失礼かもしれないが日本人に合うものと合わないものがある。


「やっぱり安いのは怪しいみたいだね。」

この辺りは海外に慣れてるあやかに聞いた話だが、土産物売り場にある安いお菓子は味も相応で疑った方がいいということらしい。

無論全てがそうとは限らないが買うなら味見をしてからの方が無難だし、味見が無理ならあまり安いのは買わない方がいいとのことだ。

とは言っても修学旅行のお土産で高級ブランドの菓子店に入るのも無理なので、木乃香達は値段と味の納得出来るお菓子を探すことにする。


「あれ、古菲どうしたの?」

「超達がホテルに帰ったアル。 なんか学園が動いたとか計画を断念するとかしないとか揉めてたネ。」

そんな木乃香達だが少し疲れたのでお茶でもしようかとコーヒーショップに入ると、一人で暇そうな古菲と偶然会っていた。

日頃から元気な古菲にしては珍しいと明日菜は心配して声をかけると、古菲は超達に仲間外れにされたと感じてるようで少し落ち込んでるらしい。


「学園が動いた? 計画?」

ただそんな古菲が何気無くこぼした言葉に夕映とのどかの表情が変わる。

まだ木乃香と明日菜に言ってないが超鈴音が自分達と微妙に距離があるのはあやか達に聞いているし、無いとは思うが警戒も最低限した方がいいと気にかけて居たのだから。


『おう、夕映ちゃんどうした?』

突然揉めて帰ったという超達に夕映は嫌な予感がして、トイレに行くと偽りあまり心配をかけたくないからと超の変化など報告してなかった横島に腕時計型通信機で連絡していた。


『超さんの様子がおかしいらしいのです。 古菲さんいわく学園が動いたとか計画を断念するとかしないとか。』

夕映はあやか達が言っていた超鈴音の様子や修学旅行中の変化などから始まり古菲の言葉を伝えて現状を説明するが、横島は無言で聞いてるばかりで返事はない。

いつもなら大丈夫だと笑い飛ばす横島が無言なことに夕映は確信を持ちつつ返事を待つ。


『こんなに早く気付くとは。 夕映ちゃん達が凄いのか超さんが意外にわきが甘いのか。 結論から言えば超さんはある目的の為に密かに動いていたが、それは俺や学園長先生は認められないってことだ。 超さんの居ない隙に学園長先生が動いたからな。 それで揉めてるんだろ。 超さんのことは高畑先生が見張ってるから何かあれば教えてやるといい。 ただ詳しい話はいろいろ複雑だから帰ってからだな。』

日頃から横島が近右衛門達と時々会って何やら相談したりしてることを知ってる夕映からすると、正直事情をすぐに教えてもらえるとはあまり思ってなかった。

それどころか適当に誤魔化されるかもとすら思っていたが、意外なことに横島は事情は教えてくれなかったが大筋の流れを教えてくれたことに微かに驚いている。


『……何故超さんは……』

『守りたいもが違うんだろうな。 超さんは自分の守りたいものの為に麻帆良を踏み台にしようとしてる。 古ちゃんは何も知らんはずだから夕映ちゃん達で一緒に居てやるといい。 あとは何も心配することはない。 高畑先生が居るし不測の事態があれば俺がすぐに行くからな。 修学旅行をゆっくり楽しんでいいぞ。』

この時夕映は事態が自分やあやか達が考えて以上に深刻なことを悟っていた。

横島の態度や言葉からは自分達に隠しきれないほど大きな何かがあり、魔法協会ばかりか横島まで動いてる以上尋常ではない何かがあると考えるしかない。

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