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二年目の春・3

「超、一体何の話ネ?」

一方顔色が悪くなり狼狽える超達を見ながら一人困惑していたのは超一味と親しいながらも唯一何も知らない古菲だった。

超が古菲に隠していた理由は幾つかあるが、一番の理由は彼女が本来麻帆良に来るはずだったネギ・スプリングフィールドにとって重要な人物故に下手に影響を与えたくなかったからである。

尤も古菲自体が嘘をつけない性格で秘密を守れない可能性があるタイプだったことも考慮はしたが。


「古は知らない方がいいヨ。 それと計画は現時点を持って放棄するから、葉加瀬と五月は学園の指示に従ってほしいネ。」

あまりに深刻な超達に古菲はしばらく見守っていたが流石に落ち着くと事情を説明してほしいと詰め寄るも、超は覇気のない表情で教える気がないと明言して今後のことを葉加瀬と五月に話始めた。

葉加瀬は現状ではまだどの程度計画が漏れたかも分からないので計画の続行を考えていたが、超はすでに計画は続行不可能だと判断する。

仮に計画の大部分が露見してないにしても膨大な数のロボット兵器を組み立てて計画を進めるには工学部の学生の協力が必要だが、近右衛門が公式に動いたからにはどんな状況が良くても超や葉加瀬には確実に監視が着くし周辺の工学部の学生にも少なからず監視の目が向けられるだろう。

第一ロボット兵器の部品ですらまだ届いてない物があるが、大量の物資を地下の閉鎖区域に運ぶことすら監視の元では難しい。


「いいんですか!? それじゃ、世界が!!」

「引き際は大切ネ。 二人にはこの世界に家族も居る。 これ以上やればタダでは済まないヨ。」

それはあまりに呆気ない計画の終了宣言で葉加瀬はまだやれると思うのか語気を荒げて超に諦めるのは早いと言うも、超はこれ以上やれば葉加瀬と五月が普通の生活に戻れなくなると危惧していた。

超はこれが近右衛門からの最初で最後の通告であり、今ならばまだ人道的な解決をするとのシグナルだと思っている。

だがそれは逆にこれ以上何かをすれば最早学生として扱ってくれないとのことであり、二人を家族や友人と別れ闇に生きる道に引き込みたくはなかった。


「せっかくここまで頑張って来たのに……。 そうだ! 修学旅行期間中に木乃香さん達を引き込むか、最悪確保すれば!!」

「それは悪手ネ。 孫娘に手を出せばどれだけ怒りを買うか。 恐らく高畑先生が私達の見張りネ。 出し抜くのは並大抵の策では難しいヨ。」

超の考えは葉加瀬には伝わらないというか葉加瀬はやはり計画の闇を理解してないのだと超と五月は悟る。

葉加瀬は麻帆良に居ないことで何も出来ないならば逆に麻帆良に居ない利点を生かして木乃香達を味方に引き込むか、最悪人質にして確保すればと口にしてしまい超の青い顔を更に青くさせてしまう。

留守中を狙うような近右衛門が孫娘と明日菜を無防備にしてるとは思えなく、確実に高畑が壁となり立ちはだかると理解していた。

加えて超はあえて口にはしないが木乃香達に手を出せばエヴァが敵として立ちはだかるとも考えている。

一年前のエヴァを思い出せば信じられないし葉加瀬は知らないようだが、超は数日前にマホラカフェでエヴァがタマモや木乃香達と夕食を共にしてる姿を帰宅途中に外から見かけていた。

あの魔王と恐れられ超達ですら気を許さなかったエヴァが、木乃香達と一緒に夕食を食べて笑っていたのを見てしまったのだ。

特にタマモに向けた慈しみの瞳を見た瞬間、超はエヴァが完全に敵側なのだと悟っていた。

木乃香達やエヴァになつき家族だと公言しているタマモが居る限り、エヴァは渋々でも木乃香達の為に動くだろうと見ている。

他でもない自分の家族を守る為に。

エヴァだけは何があっても手を出してはダメなのだ。

それを理解できない葉加瀬に超はやはりこれ以上裏の世界に引き込んではダメだと確信していた。




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