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白き狼と白き狐と横島

「横島、こんな感じでいい?」

雪之丞が愛子を迎えに行っている頃、タマモとシロは横島に頼まれてお守りくらいの袋を縫っていた


「ああ、サンキューな」

タマモから袋を受け取った横島は、【防】の文字が込められてる文珠を二つ入れていく


「知り合いに文珠を持たせるのはいいけど、使い方教えなきゃダメなんじゃないの?」

「それがさ。 あらかじめ文字を入れとけば、自動で発動するんだよ。 多分イメージの問題だと思うんだけどさ」

お守りのように文珠を使おうとする横島にタマモは疑問を抱くが、文珠の使い方次第では使えるようである

これは以前に一人で修行した時に見つけた文珠の使い方で、あらかじめ決まったイメージを加えるとそれがキーワードになるらしい

かつて横島がデミアンと戦った時、文字を込める前に発動した文珠があった

あれのイメージで横島なりに使い方を考えた結果、持ち主の危機に発動する事が出来るようになったようである


「多分って、相変わらず適当ね」

イマイチ特性や効果が曖昧な文珠は、作り主である横島と似ているとタマモは思う

使い方次第ではアシュタロスにダメージを与えるほどの可能性もあるが、逆にたいした事がない時もあるのだ


「まあ、使い方も教えるけどさ。 とっさにイメージして文字を込めるのも難しいんだ。 二つ入れとけば、一つで守って一つで逃げれるだろ?」

考えてないようで考えてる横島だが、自信があるようで大丈夫だと言い切る

タマモとシロはそんな横島を不思議そうに見つめていた



「本当に貰っていいの?」

店に到着した愛子に横島は文珠のお守りを渡し使い方を説明するが、愛子はどう答えていいかわからないようである

文珠の事は卒業パーティーで魔鈴から一通り聞いているため知ってはいるが、愛子自身そんな貴重な物を貰っていいのかわからないのだ


「いいって、最近物騒だしな。 それに文珠も使わないから余ってるんだ」

戸惑う愛子に、横島はたいした事でないように笑って答えていく

それと言うのも横島が魔鈴の家に住んで以来、文珠を使う機会が全くなかった

現在横島が文珠渡しているのは魔鈴・タマモ・シロ・雪之丞の四人だが、横島本人を含めて全く使う機会がない

万能であり使い道はそれこそイメージの限り広がる文珠だが、平和な日常では特に必要ではなく護身用のお守りがせいぜいである


「とりあえず、何回か練習したらいいな。 イメージを文字として込めるんだけど、結構繊細なんだ」

戸惑う愛子をなんとか納得させた横島は、愛子に文珠を使う練習をさせていく

さすがに失敗しても爆発はしないが、イメージがしっかりしてないと効果が半減するのである


「なんか怖いわね。 私は戦う力なんてない妖怪だから」

数回練習をする愛子だが、文珠の凄まじい能力に若干恐怖を感じてしまう

戦う力のない者にとって文珠の力と万能性は、素晴らしいと感じると同時に怖くもなるようである

それは素人が銃や刃物を持った時、使うつもりでなくとも怖くなるのと同じ感覚かもしれない


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