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二年目の春・3

「何だ!?」

「査察だと? 彼女達は修学旅行で居ないんだぞ!」

そしてこの日の午前八時半になると超鈴音の研究室や超包子やお料理研究会など彼女に関連する学園内の施設に何の予告もなしに査察が入っていた。

研究室は無人だが超包子やお料理研究会は留守を預かるメンバーが居るも、学園側及び生徒会立ち会いの元での査察を拒否出来るほどの人材は居ない。


「超鈴音にはコンピュータを用いた学園及び支援企業への不正アクセスの容疑があるので査察を行います。 異議申し立ては生徒会か学園事務局までお願いします。」

まだ肌寒い春の朝に大人数の査察する人が現れると当然騒ぎになり、特に研究室などは親しい学生どころか講師や教授くらすまで現れて騒然となってしまう。

自らの研究以外も頼まれると協力していた超だけに少なくない人間が研究室に入ろうとする学園側の人間と対立して一触即発の雰囲気になるも、正式な手続きを行い生徒会までもが動いてる以上さすがに力づくで止めようとする者は居ない。


「本人は知ってるのか?」

「横暴だ!」

「超鈴音に関しては先に上げた容疑以外にも出所不明の資金を無許可で学園の研究に使ってるとの情報もありますし、校則違犯の問題行動も多数報告されてます。 中には貴方達工学部の生徒がそれに荷担したとの情報もありますので貴方達にも後日事情を伺うことになります。」

以前から何度か指摘してるが麻帆良学園は生徒の権利が強く自由な校風のためバイタリティ溢れる生徒が多いが、気を付けなければ増長し自己中心的な人間にもなりかねない。

大学部では人気も人望もある超鈴音なだけに少なくない人間が学園側に抗議するも、超鈴音の問題行動は規模の大小に関わらず以前から指摘されていたことでもある。

いくら天才で研究室と研究資金を学園側から提供されてるとはいえ彼女は中学生なので校則もあれば条件もそれなりに付けられていて、一番シンプルですでに有名無実化した条件は夜間の研究室使用禁止なんかがあった。

それと大学部では研究資金を得るのに企業や個人から出資を受ける場合もあるが、麻帆良学園では外部から研究出資を集めるのは学園側の許可が必要になる。

超鈴音は研究資金を自身の経営する超包子から出していて一応許可は取っているが、あまりに莫大な資金を使うゆえに一部ごまかしていたりするし例の計画に絡む金の動きは学園側に報告されてる内容と現実が明らかに違いすぎた。

とまあ一つ一つ問題点を上げていけばキリがないが、結果として超鈴音は大学部の教授すら越える成果を次々と出した為に少しくらいの校則や約束違犯は見過ごされそれが常態化していたのだ。

特に大学部には結果を出してるんだから好きにやらせればいいじゃないかという風潮があり、そんな風潮もまた彼女の計画に利用されることになったのだが。

近右衛門はこれを機会に最低限のルールは守らせたいと考えており、超鈴音の活躍によりあまりに自由になりすぎた大学生達は少なからず指導を受けることになる。


「おいおい、学園は本気だぞ。」

「とにかく超に連絡だ!」

結局大学生達は本気になった学園側を止めきれずに学園側の査察が始まってしまい、超と親しい学生は対策を取るためにすぐに連絡をしてあっさりと事態は超鈴音に知られることになる。

そして天才超鈴音が校則違犯を繰り返していて一部では犯罪とも言える不正アクセスをしていたという話はすぐさま学園内で広まり、超鈴音の名声に疑問符がつき今までの優遇の是非も同時に問われることになる。

公人とまでは言えないが学園に優遇され超包子の経営で億万長者とも言われる超鈴音なだけに、成功の影に犯罪ありだと思われると直接犯罪で成した成果でなくとも疑われ始め彼女の研究成果そのものからして疑われることになってしまう。



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