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二年目の春・3

同じ夜タマモは少し寂しげにテレビを見ていた。

昨夜に続き今夜も横島が茶々丸と刀子と出掛けてしまった為である。

家にはエヴァとチャチャゼロが居て二人ともタマモと遊んでくれるが、やはり僅かな寂しさは感じずには居られないようだった。



「これが戦闘用ロボット?」

「らしいっすね。 基本武装はロケットパンチと低出力レーザーで性能は茶々丸ちゃんより劣るみたいだな。 まあ量産型だしな。」

そんな横島達は食事に来ていた近右衛門・清十郎・千鶴子の三名と一緒に異空間アジトのバベルの塔に来ていた。

目的は超鈴音の技術の確認であり、通称田中さん正式名称《TーANKー@3》という工学部で超鈴音が極秘開発しているロボット兵器の視察である。

他にも多脚戦車とでも呼べる兵器もあるが、こちらはまだ完成品がなく部品の組み立てを現在ハニワ兵達が行っている。


「魔法より直接世界に与える影響は大きい気がするわ。」

「戦争が変わるのう。 いいのか悪いのか。」

相変わらず居心地が良くないというか今一つ落ち着かないバベルの塔の研究室の一つに来た一行だが、田中さんの性能はともかく数千の数で量産出来る物となれば直接世界に与える影響は今のところ限られた人にしか使えない魔法よりも大きいと千鶴子と清十郎は頭を抱えた。

そもそも田中さんの開発は麻帆良学園で正式に行ってる研究の一つではあるが、正式には多目的ロボットの基礎研究のはずで兵器開発ではない。

レーザーも元々は医療及び工業用レーザーとして開発されていたが、超鈴音と一部の大学部の者が兵器への転用をしている。

実のところ麻帆良学園でも流石に兵器の開発は表向き禁止はしているが、名目を変えた研究は密かに黙認していた。

一応魔法協会には自衛権がある上に魔法絡みに限定すれば兵器と呼べる物の開発も対妖魔名目で不可能ではないからだが、流石に学園で現物を組み立てて兵器を完成させるのはよろしくない。

核兵器と同じでいつでも兵器を作れる技術は保持したいが持つのと持たないのでは雲泥の差がある。


「こちらが完成してなかったのは幸いじゃのう。」

ただ田中さんに関しては災害救助など兵器以外の使い道もありいいが、多脚戦車は設計図を見る限りどう見ても兵器にしか見えずまずかった。

幸いなのは多脚戦車は完成してなく他に使う予定の銃器なんかは既存の兵器と大差ないので技術を秘匿しなくていいことだろう。


「これどうします? 部品がある分は組み立てておきますか? 急ごしらえなんで動力部とか細々とした改良は必要ですけど基本スペックは悪くないっすよ。」

「レーザーは要らんのう。 稼動時間を伸ばした方がいいし、なるべく秘匿せねばならん技術は使わんでくれ。」

近右衛門達は遠くない将来ロボット兵器が増えて戦争の形が変わることを危惧するも、横島はせっかくのロボット達なので使えないかと考え田中さんを改良して組み立てようと言い出す。

そんな横島の提案に近右衛門達は少し悩むも一度世の中に出た技術をいつまでも秘匿出来ないと考え、田中さんを組み立てて役立てようと決めるが低出力のレーザーなど不要な武装は外すようにと釘も指していた。

万が一武装が必要ならば銃器のように武器でも別に用意した方がよく、低出力のレーザーなど使い道が微妙な機能は秘匿しなければならない割に必要性があまりない。

別に戦争をする訳でもないし当面は開発が進められてる無人惑星で働かせて、麻帆良で使うとすれば麻帆良祭の時の警備員として魔法関係者のサポートをさせるくらいしか使い道がないのだ。


「AIは茶々丸ちゃんのを流用すれば面倒がないし、そう難しいことじゃないんですよね。」

結局田中さんは一部を最近設立した麻帆良総研に送り研究させる他は組み立てて、異空間アジトでハニワ兵達と一緒に暮らさせることになる。

超鈴音が心血注いだ計画の産物は最終的に異空間アジトの新たな住人となるという奇数な結果となることになった。


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