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二年目の春・3

「超さんがですか。」

「そんな……。」

一方あやかと千鶴の部屋には夕映とのどかが来ていてあやか達から昨夜の超鈴音や高畑との会話について教えられていた。

二人は超鈴音が学園側に目を付けられ横島まで協力するほど厄介な何かがあると聞くも夕映はこれだけではどう受け止めるべきか決められないようであるが、のどかは信じられないというか信じたくないと言った様子だ。


「現時点で私達に出来ることはないとは思いますが、二人にも一応その辺りを頭に入れておいて頂いた方がいいかと思いまして。」

超鈴音の変化というか最近の異変は、別にあやかと千鶴のみならず夕映やのどかに他のクラスメートも少なからず感じてはいる。

きっかけはやはり茶々丸の離反であり、その茶々丸が今後誰の手により整備されるかも掴めないことが超鈴音の焦りを生んだと言ってもいいだろう。

あやかはあまり話を広げて大事にするべきではないと考えてるようであるが、不測の事態も考慮すると超に表情や考えを読まれにくい夕映とのどかには伝えるべきだと判断したらしい。


「超さんは一体何を?」

「超さんの素性と技術については以前から各所で疑問の声がありましたから。 今思えば何かの目的があって動いていたと言うほうが納得出来る気もします。」

あやかも千鶴も夕映ものどかも現時点では超鈴音とのこれ以上の接触すらする気はなく、心配をかけたくないので横島にも超鈴音の件に気付いたことは連絡してない。

自分達の手に負える問題ではないので静観するしかないが、それでも二年間クラスメートだった友人の真意は考えることはしてしまう。

ただ元々超鈴音に関しては経歴不明の過去や出所不明の理論と技術があることから、何者で何処から来たのかという疑念は裏表問わずあったことである。

超自身は過去を一切語らないので危機管理に長けてる魔法関係者の中には不気味だと避ける者も多い。

性格の明るさや人柄がいいので大学部では受け入れられているが、反発する者や疑う者が消えた訳ではなく夕映とのどかは大学部の先輩に超鈴音の普段の様子をさりげなく尋ねられたりすることもあった。

それに夕映とのどかの二人は、あれは自分で全て考え積み上げた理論や技術ではないと親しい大学部の先輩に教えられたこともある。

技術で十年は進み理論は想像も出来ないほど進んでる超鈴音が全て自ら考え辿り着いたとは考えられず、仮に百歩譲ってそうだとしても過去が一切掴めないのは尋常ではないと断言していた人も居たのだ。


「横島さんの態度から推測すると私達には理解は出来ても共感は出来ないのでしょうね。」

超鈴音は何者で何をする気なのか四人は二年間一緒だった過去を思い出し考えていくが、千鶴は理解は出来ても共感は出来ないだろうとの予測を口にする。

超鈴音は自分達とは根本的な何かが違うと彼女はそう感じてるらしい。


「話し合えないんでしょうか? クラスメートなのに……。」

「難しいと思いますわ。 私達もそう考えて話をしたのですが。」

しかしのどかはそれでも一緒に学ぶクラスメートなだけに話し合いで解決出来ないのかと希望的な意見を言うも、あやかは悲しそうに首を横に振り難しいと告げた。

無論話し合いで解決する可能性があるかないかで言えばあるのだが、それが実現可能ならば高畑や近右衛門がやってるはずであり、もしかしたら話し合いでの解決のために高畑や近右衛門達が動いてるかもしれないのだ。

結局ろくな情報もない自分達では超鈴音をそれとなく警戒するしかやることがないのが現状である。

それに誰も口にしないが四人が共通してる考えは超鈴音の問題の解決よりも横島の秘密を守ることが第一で、それを訳もわからぬ超鈴音の問題の話し合いの鍵には出来ないことだった。

正確には横島の秘密は横島が明かすべきであり、極論を言えばあまり親しくない刹那には秘密の一端を見せても割と親しい超鈴音には見せてないのには理由があるとも考えている。

流石にクラスメートとはいえ特に親しい訳でもない超鈴音と横島を天秤にかけると横島を選ぶのが暗黙の了解であった。

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