このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

二年目の春・3

「ねえ、マスターと誰が付き合ってるの?」

一方美砂と円の部屋では桜子に加えて裕奈・まき絵・亜子・アキラの四人に朝倉和美が来ていて、こちらは恋ばなというか異性の話で盛り上がっていた。

何処の誰が誰と付き合ってるとかデートは何処に行ったとか、果ては初体験をいつ済ませたとか。

男性がこの場に居ないこともあり、横島などが聞けば女の子のイメージが変わりそうなほど遠慮ない露骨な話なんかもしている。


「私達が知る限りじゃ付き合ってる人居ないわよ。」

「えー! 美砂達とか木乃香とか怪しいじゃん!!」

「怪しいって言えば葛葉先生もかなり怪しいけど。」

そろそろ中等部七不思議にでも入りそうな横島の異性関係は年頃の少女達には格好の獲物のようで、特に報道部の和美や裕奈やまき絵はその手の話が大好物らしい。

横島が根本的に女性が苦手という噂を彼女達は未だに信じているが、同時に女性と触れられないほど苦手という訳でもないのは交流がある彼女達は知ってる。

桜子なんかはよくタマモと一緒に抱き付いて居るし、木乃香達が料理を教わる時も接触することは普通にあるのだ。

いわゆる過去のトラウマかなんかで女性を避けてるのだろうというのが、秘密を知らない常連や少女達の見方となっている。


「意外とノーマークだけどアスナもかなり怪しいのよね。 年末年始には泊まり込んで居たって言うじゃない。 流石に普通はしないわよね?」

「年始年末は高畑先生も一緒だったよ。」

「でもタマちゃんのなつき具合を見てると冗談抜きに付き合ってても不思議じゃないのよね。」

ただまあ客観的に見て横島と少女達の間には秘密の共有という事情もありすでに他が入り込めないような深い関係が見え隠れするのが本音で、内情がどうなってるのか気になるのも周囲にはあるらしい。


「そうそう、あの外人の美女は何者!?」

「外人? ああ、アナスタシアさんのことね。 マスターの知り合いらしいわよ。」

「アナスタシアって名前なのか。 じゃあ彼女がマスターの恋人だって話は!?」

「本人はそう言ってるみたいね。 マスターは否定してたけど私達もそれ以上は知らないわよ。 今のところは付き合ってる様子はないけど。」

加えてごく最近だが横島の店に出入りする外人の美女の話も和美達は突っ込んで聞いていくが、それはもちろんエヴァの大人バージョンのことになる。

エヴァは大人の姿ではアナスタシアと名乗って居るらしく、周りは秘密を知らない人達はエヴァをアナスタシアと呼んでいた。

今まで木乃香ですら明言しなかった横島との関係を半ば冗談とはいえ明言したことで話題になっていて、タマモのなつき具合からも満更嘘ではないだろうと思われている。

少し話は逸れるが周囲が横島と噂の女性との関係を探る一つの基準として、タマモがその女性とどれだけ親しいかということが見られていた。

ぶっちゃけると横島との恋愛で一番の障害は幼いタマモであり、最近は横島に露骨にアプローチしている魔法協会の女性が居るが彼女が噂にならないのはタマモがあまりなつかないからである。


「あんた達って、なんでそんなに落ち着いてるの? 普通もっとこう焦りとか互いに牽制しあうとかするわよね?」

「なんでって言われても。 タマちゃんに家族として認められるようになれば自然とこんな感じになるのかな。」

修学旅行の夜ということで暴露というか本音を聞きたいという雰囲気になる少女達だが、秘密は秘密として隠しつつ本音を語る美砂達の心情を和美やまき絵達は全く理解できないようで首を傾げてばかりだったが。

木乃香達ならばともかく今時らしい美砂達ですら妙に落ち着いてしまった現状が彼女達は不思議で仕方ないらしい。




68/100ページ
スキ