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二年目の春・3

「綺麗な景色や。」

「ほんと、本物のハワイも凄いわね。」

一方木乃香と明日菜は部屋に遊びに来た夕映・のどか・さよ・ハルナと共に夕日を眺めていた。

窓から差し込む夕日が部屋の中まで夕日色に染めていて、何処か幻想的な雰囲気となっている。


「でも、もうちょっと自由行動を増やして欲しいわ。」

「仕方ありませんよ。 修学旅行なんですから。 それに治安だって安全だとは言いますが、日本よりは確実に悪いんですから。」

タマモが居たらお散歩に行こうと言い出すんだろうなと思うほどの絶景と言えるワイキキだが、ハルナは少し厳しい規則と自由行動が少ないことに不満を漏らす。

ただ修学旅行なんてこんなものだし、一応三日目には1日自由行動の日がある。

加えて出発前に散々聞かされたことだが海外の中では比較的安全だとは言っても、日本と同じ感覚では思わぬトラブルに会う可能性があるということで散々注意されていた。

特に夜間なんかは危険になる可能性が高いので間違ってもホテルを抜け出さないようにと厳しく言われているのだ。

なまじ行動力がある麻帆良生なだけに過去に抜け出した者が居たのかもしれない。


「そういう意味だとハニワランドの方が気楽でいいね。」

あと基本的に知らない人には気を許さないこととかも注意されていて、親切そうな人に騙されたのなんて話もこちらではない訳ではないらしい。

テレビの影響かフレンドリーな外人は親切なんだと勘違いする日本人が時々居るようだ。

のどかなんかは正直臆病な性格なのであれこれと気を付けろと言われると怖くなる部分もあるらしく、それなら異空間アジトのハワイの方が気楽でいいかもしれないと口にする。


「自分の身は自分で守るというのが世界では常識なんだと思うです。 横島さんでもその辺はしっかりしてますからね。」

まあ安全という部分で言えば、少女達からちゃらんぽらんだと見られがちな横島ですら結構しっかりしていた。

麻帆良でさえ日が暮れてから帰る時は店から寮までの近距離でも一人で帰らないようにと日頃から言っているのだ。

土偶羅の存在もあり何かあっても守れる自信はあるが、そもそもの問題として何も起きない方がいいというスタンスは今も昔も変わらない。

そういう意味では隙を見せるようなことはするなと言うのが横島が少女達に口出しする数少ない教えであり、横島の身近な少女達は意外に安全への意識は高い。

今回のハワイの修学旅行に関しても裏通りに行くなとかホテルの中でも気を抜くなとかいろいろ注意を受けている。


「ハニワさん達みんないい人だもんね。」

結局どうしてもハワイというと異空間アジトのハワイを連想してしまい、同じ人間より人懐っこくていい人であるハニワ兵をよく知るだけに海外での注意事項に関して思うところがあるらしい。

そもそも横島が何かしらの理由で故郷の世界を離れる決断をしたのは確かであり、そういう意味では人間の嫌な部分なんかを人一倍見てきたのかもしれないとも少女達は思う。

自分達は大人達に守られてるんだなと絶景を見ながら考えていくことになる。


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