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二年目の春・3

さて拠点制圧に向かったハニワ兵達だが、百体の部隊から後方支援要員を除いた八十体を四班に分けてそれぞれ別の拠点に入ろうとしていた。

四方を警戒しながら超鈴音が施した鍵やセキュリティを解除していくが、そこには張りつめたような緊張感がある。

互いに一つ一つ事前に得ていた情報から手順を確認しながら慎重に入り口のドアを明けると、そこにはハニワ兵達が見知った存在が居た。


「侵入者は捕獲させて頂きます。」

そこに居た存在はハニワ兵達を即座に捕獲しようと銃を突きつけるも、ハニワ兵達は短い腕に装着している特殊な装備からレーザーのような光線を放つと相手は一撃で動かなくなる。

実は特殊部隊のハニワ兵達は武器や身の安全を守る専用の武器や装着を着用していて、見た目は完全にSFに出てくる宇宙服に近い。

しかも今回の装備は対人鎮圧用装備な為、殺傷能力こそないが先程のレーザーのような光線は雷の性質を持つ非殺傷性の霊波光線だった。

ハニワ兵達の前に立ちふさがった存在は茶々丸専用の新型ボディとして開発されていた試作型であり、AIに関しても茶々丸のAIを一部制限を付けるなどした物なので実質的には茶々丸二号機になるだろう。

一応スタンガンや雷の魔法の矢くらいは防げる軍用強化服を流用した服を着てはいるが、想定してない霊波光線には無力だったらしい。


「ぽー!」

「ぽっ!」

ハニワ兵達は動かなくなった茶々丸二号機を再稼働しないように動力を停止すると、そのまま押収品として確保する。

そして彼らが侵入した拠点は超鈴音の拠点の中でも一二を争うほど重要な拠点であり、そこには超鈴音が未来から持ち込んだ情報や物などが保管されていた。

ちなみに超鈴音は自身の未来知識などを全て収めたデータを三ヶ所で保管していて、一つは自身で肌身離さず持ち歩いていて一つは大学部の自身の研究室にあり最後の一つがここにある。

いかに天才超鈴音とはいえ人の頭で覚えておけることには限りはあるし間違いもある。

彼女は虎の子と言える情報を万が一にも失わないように慎重に慎重を期していた。


その後ハニワ兵達は部屋のコンピュータから茶々丸二号機が超鈴音への定期通信をするのを誤魔化す為に異空間アジトのメインシステムと拠点のコンピュータを繋ぎ、定期通信を異空間アジトから発して誤魔化す工作をして拠点にある物を一つ一つ安全性を確認して中継基地となる横島達が居る地下倉庫に運んでいく。

その際ハニワ兵達は一つ一つの荷物を慎重に手で持って運んだため時間がかかっており、本来効率だけを追求するなら土偶羅の物質転送で運ぶかハニワ兵達の影の中の亜空間に放り込めばいいのだがそれをしないというのがハニワ兵達の選択らしい。


「へ~、思ってた以上に小さいな。」

「ただの懐中時計じゃないわよね?」

「人類の夢のアイテムとも究極の犯罪アイテムとも言えるタイムマシンっすよ。」

そしてハニワ兵達が押収した物の中で横島が興味を持ったのは超鈴音製の茶々丸の新型ボディの試作型と、懐中時計型渡航機カシオペアである。

横島も土偶羅からの情報でデータとしては知っていたが現物を見たのは初めてであり、興味深げに手に取ると近右衛門や茶々丸や刀子もカシオペアに注目して驚きの表情を見せた。




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