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白き狼と白き狐と横島

次の日の夜、西条はオカルトGメンの通常業務を終えた後に、サイコメトラー数名と殺人事件の捜査を始めようとしていた

前日にこの事件にイレ込み過ぎるなと言った美智恵は、自分の言った事をあまり聞いてなかった西条にため息をはいている


(確かにオカルトGメンの仕事に影響が出ないようにとも言ったけど、これじゃ意味ないのよね)

前日に美智恵からオカルトGメンの業務に支障をきたすほど捜査をするなと言われた西条は、勤務時間後に殺人事件の捜査をまわしていた

確かにやる事はやったが、これでは意味がないのだ

現在オカルトGメンには数名の見習いが居るが実戦に出せるレベルではないため、実質美智恵と西条の二人しか居ないのは変わらない

従って緊急出動に対しては、常に備えなくてはならないのである


しかし自分はまだ頑張れると半ば過信している西条は、最近は今回の捜査をギリギリまで頑張っていた

すでに個人的な資金もかなり投入しており、やる気と努力には凄まじいものがあるが……

美智恵から見れば困ったイレ込みでしかなかった


(あの視野の狭さはなんとかならないものかしらね……)

若いのだから夢や理想を追いかけるのは構わないと思う美智恵だが、西条の頭の固さと視野の狭さはもう少し改善して欲しいと思う

仮にこの事件を心霊捜査で解決しても、心霊捜査は普及などしないし世の中も平和になどならない


(もっと大局を見て欲しいんだけど……)

そんな美智恵の思いとは裏腹に、西条は事件の捜査に熱中していく



数時間後の深夜、サイコメトリーが終わった西条は1人オカルトGメンの事務所で結果の検証と整理を行っていた


「やはり霊視と同じで複数犯の兆しが現れてるな…… しかし、複数犯ならば犯人達の目的や繋がりなどが見えないのが問題だな」

サイコメトリーで現場や証拠を捜査した結果、こちらも同一犯とは言えないような証拠がいくつか現れている

心霊捜査を信じる西条としてはその結果はいいのだが、問題は複数犯の正体や関係に繋がる部分がまるでわからない事だった


(何かしらのグループによる猟奇的無差別殺人か? 一致してるのは犯人が同じ刃物を使ったという点だけか……)

警視庁が単独犯だと考える理由の一つに、犯行に用いられた凶器が全ての事件において同じだという事

その他にも犯行手口や状況証拠では、ほぼ同一犯の可能性が高いのだ

無論警視庁も捜査初期に複数犯の可能性を考慮して、被害者の繋がりや怨恨など背後関係は徹底的に調べていたが被害者の繋がりは全くなかったのである


(警視庁が犯人と疑った人物はすでに3名…… しかし、全員のちの事件でアリバイが成立か)

目撃者の情報などで犯人と疑わしき人物は複数現れていたが、その全てが前後の事件においてアリバイが成立していた

警視庁はその犯人と疑わしき人物達の繋がりなども調べたが、やはりシロである

しかも犯行現場を目撃したならともかく、犯行現場近くに居ただけでは警視庁としても犯人と断定出来るはずもなく捜査は混迷を続けていた


(何かおかしいな…… 証拠は比較的多いのに、犯人に繋がるモノがまるでない)

心霊捜査の結果と警視庁の捜査の結果を合わせて推理していく西条だが、やはり犯人について迷走するだけだった

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