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二年目の春・3

さて昼食を終えた修学旅行中の一行はホノルル市内の観光をしていた。


「ああ! これ見たことある!」

「これがイオラニ宮殿ですか。」

幾つかの名所などを見て回り旧ハワイ王国のイオラニ宮殿に到着していた。

ここにはかの有名なカメハメハ大王の像なんかもあり、ハワイを象徴する観光地の一つである。

敷地内には緑が鮮やかな芝生と南国らしい木々なんかもあり、いかにもハワイらしい場所という印象があった。


「カメハメハ大王の宮殿?」

「違うみたいですよ。 造った人はもっと後の別の王様みたいです。」

敷地内の一番いい場所にカメハメハ大王の像があるのでまるで彼の宮殿のような印象があるイオラニ宮殿だが、実は造ったのはハワイ王国末期のカラカウア王という人物になる。

アメリカ国内で唯一の宮殿ということでも有名だが宮殿は地上二階と地下一階の三層で、ヨーロッパの宮殿ほどではないが豪華であった。


「いいんちょの家の方が広いわね。」

「いいんちょのとこも凄い豪華な部屋もあるわよ。 昔の当主の部屋だったかしら? 古くて豪華な家具とかあったわね。」

「よくアスナと一緒にかくれんぼで隠れたもんなー。」

ただ3ーAの少女達は何故か宮殿と雪広邸を比べており、どちらがどう違うだとか豪華だとかで盛り上がる。

ちなみに広い雪広邸では当然ながら日常では使ってない部屋なんかもあり、邸宅を建てた当時の当主の部屋なんかは現在もそのまま残されていてちょっとした博物館のようになってるらしい。

他にも清十郎が趣味で集めた絵画を飾ってる部屋や個人的なコレクションルームなんかもあるが、明日菜と木乃香は幼い頃によくあちこちの部屋に入ってかくれんぼなどしてたようだった。


「ねえねえ、麻帆良祭でいいんちょの家で出し物やるってのは? 入場料取ればぼろもうけじゃん!」

「流石にそれはダメでしょ。 アンタ自宅を不特定多数の人に見られたい?」

その後イオラニ宮殿の見学を終えた少女達はバスで次の観光場所に向かうが、ふと裕奈が麻帆良祭の出し物を雪広邸でやることを提案するも周りは流石に無理だろうと笑っている。

とりあえず儲けたいというのがあるらしく雪広邸でレストランでもやれば入場料だけで儲かると力説するも、あやかは当然ながら嫌そうな表情をした。

雪広邸には当然両親と祖父が住んでいることはもちろんあるが、邸宅内を不特定多数の人に見せるなら警備も置かなくてはいけないし管理が大変なのが実情だった。

何処にでも不届き者は居るのだから。


ただ実はあやかが生まれる前に麻帆良祭の際に雪広邸の内部を公開しようと検討をしたことが一度だけあったが、手間と負担が大きい割に金持ちの自慢のように見られたら雪広グループ全体のイメージが悪化する懸念もあり立ち消えになったこともある。

まあ少女達はアメリカで唯一の宮殿より大きな自宅を持つクラスメートが居たことで、それをネタに盛り上がり騒ぐことが楽しいだけだったようだが。

なお白人に翻弄されたハワイ王国の歴史なんかは夕映やのどかは魔法協会の歴史と照らし合わせて少し興味を持った以外は聞き流して終わっていたが、年端もいかない少女達の大半はそんなものだろう。



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