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二年目の春・3

「やっぱ新しいボディが必要かなぁ。」

さて横島の店では昼のランチタイムも終わり横島は少し遅い昼食にしていたが、朝から手伝ってくれている茶々丸について突然口を開いた。

何度か説明しているが茶々丸は魂を持つガイノイドであり厳密に言えば九十九神の一種とも言えるし、機械生命体のようなものとも言える。

ただ茶々丸の魂はこの一年で確実に成長をしているにも関わらず基本となるプログラムやボディは変わらないのだ。


「新しいボディですか?」

「自覚あるか分からんが茶々丸ちゃんはすでに魂がある生命体なんだよ。 ボディやプログラムをそれ相応に改善する必要がある。」

かつての人造人間マリアがそうだったように魂を持つアンドロイドはあまり細かな人格プログラムが必要ないし、逆に言えば茶々丸はすでに人格プログラムが邪魔にすらなり始めているかもしれない。

茶々丸は自ら人格プログラムを書き換え最適化して対応して来たが、プログラムもボディも実験的なものなためそろそろ変えることを考える時期かと横島は見ていた。


「……魂ですか。 私が。」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「初めて聞きました。」

いい機会だから茶々丸と新しいボディのことをゆっくり相談しようかと思った横島だが、彼は肝心なことを忘れていたことに気付く。

実は茶々丸に魂が宿ってることはエヴァには伝えたが茶々丸に直接話したことがなかったのだ。

それは茶々丸にとって信じられないようなカミングアウトであり、ガーンとショックのあまり固まりフリーズしたようにしばし動かなくなる。


「私に魂が……。 私は……生きている?」

「うちだと魂はなくともハニワ兵は生きてるし、あんまり気にしなくていいぞ。」

「いや気になるだろう。」

ただまあ横島としては魂の有無は必ずしも重要ではないし魂を持たないハニワ兵も普通に家族になってるので軽く流そうとするも、呆れた様子のエヴァに突っ込まれる始末だった。

実際自分は造られた存在だと認識してる茶々丸にとって、自然に誕生する魂を持つ存在は自分とは全く違う存在だと考えていたのだ。

それは本当に天地がひっくり返るほどの衝撃的な真実である。


「わたしはちゃちゃまるさんといっしょにごはんがたべたい!」

ちなみに魂ってなんだろうと密かに疑問を抱いたタマモだったが、難しいことはまあいいかと後回しにしてしまい茶々丸のことで以前から気になっていたみんなと一緒に食事が出来ないことをなんとかして欲しいと言い始めた。

タマモにとっては茶々丸もすでに家族なのだが、茶々丸はみんなと一緒にご飯が食べられないことがずっと気になっていたらしい。


「ご飯か。 確かに必要か。 新しいボディは食事が出来るようにするか。」

茶々丸自身は未だショックを受けたままだが、横島はタマモの意見から茶々丸にも食事が出来る体が必要だなと勝手に新しいボディについて話を進めていく。





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