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二年目の春・3

「のどか、雲の上ですよ。」

「うわー、綺麗。」

一方修学旅行に出発した少女達はすでに空の上だった。

意外に長い上昇する時間を終えて安定飛行に入ると、少女達はリラックスした様子で飛行機の中や座席の周囲を見てはいよいよ始まった旅行を楽しんでいる。

学生の修学旅行だけあって座席はエコノミーであり少し狭いなとは感じるが、それでも初めての飛行機に乗った夕映やのどかは窓から雲海を見て感激の声をあげていた。

よくよく考えて見ると飛行機の前に空飛ぶバスには乗ったのだが、あれは地面からさほど離れずに飛んでいたのでどちらかと言えば飛行機という感じではない。

どうせならば今度異空間アジトの飛行機に乗せて貰おうと夕映は密かに思う。


「そう言えばこれ、何気に翻訳機能もあるのよね。」

「ハワイだと日本語通じるって言うけど文字が読めるのは便利ね。」

次に海外旅行が初めての美砂達三人は早くもハワイのガイドブックを見ていたが、美砂はふと円の耳元で囁くように腕時計型通信機について今回の修学旅行で役立ちそうな機能について内緒話を始めていた。

実は腕時計型通信機には翻訳機能が標準装備となっていて会話の自動通訳はもちろんのこと目で見た文字の自動通訳もしてくれる超便利機能だった。

横島からは学校の授業やテストでは使わないようにと言われたが、ある意味英語の授業の必要性を無くすかのような機能である。

流石に会話の自動通訳は英語を話せないだけに設定を切っているが、英語の会話を聞き取ることと文字の自動翻訳は有効化している。

修学旅行だけに別に英語を話さなくても困らないが英語を理解できるだけで楽しみ方が変わるだろうと期待していた。


「超さんと葉加瀬さん随分疲れてますわね。」

そしてあやかと千鶴の二人は少し思うところがあり超と葉加瀬の様子を気にしている。

あやかはクラス委員として単純に心配してる気持ちが半分と残りの半分は超鈴音の秘密について気になってのことだ。

以前超を横島と同じく異世界から来た存在だと誤解した少女達だが、その誤解はエヴァにより解けたが同時に超鈴音には横島とはまた違う秘密があることはほぼ確定したと言ってもいい。

加えて二人が超を気にするのは、木乃香が以前何気なく横島の超に対する態度が他のみんなへのものと明らかに違うと漏らしたためである。

交流があり魔法の秘密も知るはずなのに横島の超に対する態度はどこかよそよそしいと木乃香が気付いたためだった。


「あまりいい予感はしないわね。」

本心をクラスメートに隠してる節があり努力する姿を他人には見せない超が疲れた様子を見せるのは初めてであり、焦りにも似た何かを感じることに二人は漠然とだが不安のようなものを感じている。

超に関しては木乃香達なんかも気にしていて夕映とのどかは過去を調べたほどだが、財閥の令嬢という立場で様々な人と付き合いのあるあやかと千鶴と違い一般人に近い価値観の木乃香達は基本的には超を信じていた。

まあ別にあやかと千鶴も確実に疑ってるというほどではないが、あまり気を許すと足元を救われそうな感じのする相手でありどうしても気になってしまうらしい。

信じるというのは素晴らしいことだが、ただ闇雲に信じることがいかに危険かは二人は理解している。

あまり言い方は良くないが日本人的な価値観の信頼が世界では必ずしも通用しないのは、世界を知る人間ならば知ってることだった。

超には何処かそんな得体の知れなさがあり自分達の周りで常に気にしなくてはならない一人である。

幸か不幸かあやかと千鶴は今回の一件の動きに感づきそうだった。




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