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二年目の春・3

「のどか、酔い止めは飲みましたか?」

「うん、さっき飲んだよ。」

翌日はいよいよ修学旅行当日になる。

3ーAの少女達はハワイに行くため女子寮から近い麻帆良市内の駅で集合して成田に向かい飛行機でハワイまで行くことになるが、成田からハワイまで六時間半は移動時間があり飛行機での移動に慣れてるあやかや千鶴ならともかく夕映とのどかは飛行機が初体験であり二人は念のため横島特製の酔い止めを貰い先程飲んだらしい。

二人とも特に乗り物酔いが酷いタイプでもないが、飛行機の中で気持ち悪くなるのが不安だというので横島が酔い止めをあげたようだった。


「往復十六時間だもんね。 やっぱハワイは遠いわ。」

初めての飛行機に少し不安げな様子である夕映とのどかだが一緒に来たハルナは意外にも飛行機経験があるようで、彼女は移動時間の長さを愚痴る余裕すらある。


「いつもは一瞬ですから。 移動の楽しみがありませんが長時間飛行機に乗るよりは楽なのですよね。」

彼女達は一応暇潰しにと本は持ってきましたが、狭い飛行機の中で見るなら腕時計型通信機の機能で寝たふりをしながら本やドラマや映画でも見てる方が楽であった。

ちなみに腕時計型通信機は既存の機械類とは別物なので飛行機の中でも通信や異空間アジトのデータベースへのアクセスも可能らしい。

万が一搭乗前の検査でバレたらと少し心配していた少女達も居たが、横島は絶対にバレないと太鼓判を押している。

そんな夕映達は最近異空間アジトで遊びに行くことが多く移動がほとんど瞬間移動なので移動時間の風情というか楽しみがないと感じていたが、改めて普通にハワイに行くとなると移動時間が長いとしみじみと感じるようだ。

少し贅沢癖が付いたかと内心で反省する夕映とのどかだが、ハルナは可能なら横島にハワイまで送って欲しいくらいらしい。


「おはようございます!」

そのままおしゃべりをしながら集合場所に行く夕映達だが、集合場所ではすでにテンションの高いさよが鳴滝姉妹と一緒に騒いでいた。


「木乃香と明日菜さんは飛行機乗ったことあるんですね。」

「ウチら昔は雪広のお爺ちゃんと旅行とかよう行ったんよ。」

ちなみに飛行機に関しては木乃香と明日菜も乗った経験があるようでかなり落ち着いている。

二人は初等部の頃には雪広清十郎に連れられて旅行や遊びに行くことが多かったらしく、雪広家所有のプライベートジェットから一般の飛行機まで結構乗ったことがあるらしい。

その素性から安易に旅行をさせられなかった明日菜と両親や祖父が忙しく旅行に行けない木乃香を、自分の孫達と一緒に清十郎が旅行や遊びによく連れて行ったというのが事情なのだろうが。


「二人とも眠そうアルね?」

「これから飛行機で移動ですからね。 昨日は徹夜したんですよ。」

そしてこの修学旅行が一つの結末になる超と葉加瀬は明らかに徹夜明けの疲れた表情で集合場所に来ていた。

古菲を始め五月やクラスメートが超の疲れた表情を物珍しげに見ていたが、茶々丸の離反が地味に二人を追い詰めた結果である。

担任の高畑はそんな二人を見てやはり複雑な想いが込み上げてくるも、すでにどうすることも出来ない現状にただ見守るしか出来なかった。



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