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二年目の春・3

高畑と刀子との話し合いが終わると横島は二階に上がってお風呂に入りゆっくりするが、さよとタマモとハニワ兵達はさよの荷物を準備していた。

四泊五日なので下着類は予備を含めて五日分持っていくし、自由行動の日に着る私服もばっちり用意しているらしい。

まあこの辺りは旅行なんて横島達と異空間アジトに行った経験しかないさよ本人というよりは、二体のハニワ兵があれこれと世話を焼くように準備をしているが。


「そんなに荷物居るか?」

「ぽー!」

ただ基本的に横島は旅行なんかに行く時は最低限の着替えしか持たないタイプなので、結構な量になるさよの荷物にそれほど必要なのかと疑問の声をあげるもドジなハニワ兵により必要だとはっきりと言われてしまう。

向こうでは海水浴の時間もあるらしくそのせいでバスタオルなんかも持参するので余計に荷物が増えているのだが。


「中学の修学旅行でハワイに行くなんて今時だよなぁ。」

「そういえば横島さんは修学旅行で何処に行ったんですか?」

「中学の時は普通に公立だったし京都だったな。 まあそれなりに楽しかったよ。」

何だかんだ言いつつ楽しげに忘れ物がないようにと修学旅行のしおりを見ながら荷物を鞄に詰めるさよ達だが、横島はそんなさよ達の姿を見てふと昔を懐かしむようにしみじみと自分の修学旅行を思い出す。

麻帆良学園のような特殊な学校ではなく、ごく普通の公立中学に通っていた横島の修学旅行は本当に普通の修学旅行だった。

まあ友人の男子とばか騒ぎして怒られたりもしたが、それなりに楽しかったなと今になれば思う程度らしい。


「きょうと? このかちゃんのおうちがあるとこだ! わたしもいきたい!」

一方横島の出身が異世界だということや修学旅行を未だにいまいち理解してないタマモは、横島の話から京都という部分だけを理解して自分も行ってみたいと騒ぎ出す。

木乃香から故郷である京都の話や帰省した時の話をいろいろ聞いているだけに、いつか行きたい場所だったのだろう。


「京都か。 行ってもいいが何時になるかは分からんぞ。 花見も行くって言うし動物園とかもあるし、夏にはみんなの家族と旅行に行くからな。」

「よていがいっぱいだ!」

しかしタマモの遊びに行く予定は地味にいろいろあり、美砂達が企画した異空間アジトでのお花見を筆頭に普通にこちらでの動物園や水族館に少女達の家族を集めた旅行も計画が進んでいる。

タマモは他にも夏にはまたみんなでこちらの海に行く約束なんかをちゃっかりしてるので、指折り遊びに行く予定を数えるが予定の多さに困ったと言わんばかりの仕草をするつもりらしいが嬉しさが隠しきれてなかった。


「麻帆良祭とか納涼祭もあるしな。 神社のお祭りもあるだろ。」

ちょっと大人ぶりたいのか予定を考える仕草をするタマモが可愛らしく、横島はついつい他にも予定があると麻帆良祭を始めとする麻帆良内の予定も加えていく。


「そうだ! みんなとおまつりやるんだ! きちんとよていかいておかなきゃ!」

そのままタマモは増え続ける予定にワクワクが止まらない様子でスケッチブックを手に取るとクレヨンで予定表を書き始めていく。

どうも木乃香達が店で帳簿や在庫の書類を日頃から作ってるのを見ていたタマモは、自分も忘れないように真似するつもりらしい。


結局タマモはこの日はさよと一緒に寝ると言い出し寝るまでさよの荷物や自身の予定を考えうんうんと唸ることになる。



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