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二年目の春・3

「これを五日以内に押収とか冗談だと思いたいわね。」

一方修学旅行を前に慌ただしかったのは刀子と高畑だった。

以前も説明したがオーバーテクノロジーを筆頭に超鈴音の未来知識や技術を公開してる物以外は全て押さえるのは当然として、計画に使われるはずだったアンドロイドの部品や一部完成品なんかも押収せねばならない。

それを実行するのは一部超包子などの重要度が低い部分の査察は魔法協会が行うが、秘匿すべき物は大半がハニワ兵で押収する予定になる。

その表と裏の動きを全て理解してるのは修学旅行で居ない高畑を除けば近右衛門と刀子と土偶羅しか居なく、必然的に麻帆良内でのこの件の責任者は刀子となりつつあった。

ちなみにもう一人の近右衛門に関しては超鈴音の麻帆良外の資産や拠点への対応や情報収集の方で手一杯だった。

今回は土偶羅がかなり動いてるので実務的な負担は意外に少ないが、基本的に土偶羅が最終判断をしないスタンスは代わりなく押収の計画は近右衛門や刀子が相談しながら最終的に決断している。

それと麻帆良市外の超鈴音の資産や拠点に対しては、極一部の秘匿すべきオーバーテクノロジー関連の拠点はやはり密かに押収するしかないが流石に資産はほぼ完全に手が出せない状態であった。

巧妙に自身の存在を隠しペーパーカンパニーや代理人など複雑に絡ませてる上、近右衛門でも手が出せない海外の銀行などを挟まれると安易に手が出せないのが現実だ。

まあそちらもすでに土偶羅により詳細は情報収集はされている上に、資産だけならば放置しても危険性はないので超鈴音とこの件を話す時までに他の情報や証拠と一緒に纏めるくらいでいいのだが。


「全く、クルトには困ったな。」

それと高畑に関しては修学旅行期間中の通常の教師としての職務の他に超と葉加瀬の監視をせねばならないが、ここに来てもう一つ頭の痛い問題が浮上していた。

今回高畑は完全に横島の情報によるバックアップの元で超と葉加瀬の監視をするのでその打ち合わせをしていたのだが、ここに来て修学旅行期間中にクルト・ゲーデルが自らハワイに行き高畑に直談判する計画を密かに立てていることが伝えられると高畑は疲れた表情でため息をこぼす。


「流石に麻帆良に来れば問題になりますからね。 アメリカは一応友好関係があるみたいですし。」

ここに来てクルトが修学旅行期間中の高畑に接触しようとしてる訳は、メガロメセンブリアと関係が断絶してる麻帆良には流石に元老院議員であるクルトがおいそれと来れないというのが理由にある。

見つからなければいいのだが高畑が問題視して関東魔法協会に捕まりでもすればクルトの政治生命は完全に終わる。

だがハワイならばアメリカの国も魔法協会も一応メガロメセンブリアと友好関係にあるので、アメリカ国内の魔法協会訪問を理由にすれば地球側に来ることも出来るようだ。


「会わないように妨害出来ますけどしますか?」

「どうする気だい?」

「元老院の主流派にその人の目的の情報を流すんっすよ。 高畑先生とその人を会わせたくない人達にね。 あとは向こうが勝手に妨害してくれますよ。」

ただでさえ超という油断ならない相手を監視せねばならないのにクルトの相手などしてられないし、万が一にもクルトには明日菜を見られたくない高畑はどうするべきか悩むが横島が妨害することを提案すると少し驚きつつ考え込む。

今のところ高畑がクルトと会って得になることは何一つなく、仮に高畑がクルトの誘いをキッパリ断っても元老院は疑念を抱き高畑の周りに監視の目が増えるのは明らかだった。

現状で高畑自身には監視の目は常時張り付いてなく、麻帆良在住の諜報員がその同行をある程度把握して本国に報告してるに過ぎない。

高畑としては魔法世界は救いたい気持ちはあるがクルトのやり方では救えるとは思えなく、下手に巻き込まれるのは明日菜の存在もありまずかった。


「頼んでいいかな。 あまり手荒なことはしたくないしね。」

結局高畑はフェイト暴露の件のように情報だけで相手を制する横島にクルトの件を任せることにする。

会いたい気持ちも全く無いわけではないが時期と場所が悪かった。



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