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二年目の春・3

さてこの日いまいち元気がないのはタマモであった。

僅か五日居ないだけで週末には帰ってくると言われてもみんなが居なくなるのが寂しいのだ。

タマモにとってみんなは一緒に居て当たり前の家族であり、特に夏のお盆や年末年始でさえさよと明日菜は居ただけにみんな居ないとなると一際寂しさが込み上げてくる。


「茶々丸さんと一緒にお店のことお願いね。」

「頼りにしてるえ。」

そんなタマモだが明日菜や木乃香はタマモにも居ない間の仕事を幾つか頼んでいて、店を頼むと言い幼いタマモを頼るようにしていた。


「……うん。 おみせをまもる。」

中途半端に励ましたり誤魔化しても余計に寂しくなるだろうと考えた結果、木乃香達はあえてタマモにも役割を与えてみんなの店を守るように仕向けたのである。

タマモにとって店はみんなが帰ってくる家であり、安心してみんなが出掛けられるようにと寂しさを感じながらも使命感に燃え始める。

なおタマモは修学旅行というものをいまいち理解してなく、遠くに勉強に行くのかなと考えてる程度だ。

本音を言えば自分や横島も含めてみんなで行けばいいのにとも思ってるが、学校の勉強には自分達は行けないとなんとなく理解もしてるらしい。


「私なんなら行くの止めても……。」

「だめ! がっこうはいかなきゃだめなんだよ!」

そしてさよに関しては修学旅行を誰よりも楽しみにしてる反面、幽霊である自分が行っていいのかなとの考えもあるらしく少し複雑な心境だった。

加えて実の姉妹と変わらぬ生活を一年近く過ごして来たタマモの寂しそうな様子に、思わず行くの止めようかと口にするもそれはダメだとタマモが即否定する。

寂しいのは確かなものの、さよや木乃香達が修学旅行を楽しみにしてるのも理解してるので行って楽しんで来て欲しい気持ちもタマモにはあるのだ。

幼いながらに寂しさとみんなのことを思う気持ちの間で揺れ動く心であるが、タマモはタマモなりに真剣に考え答えを出そうとしていた。


「帰ってきたらハニワランドでみんなでお花見しようね!」

「GWも動物園か水族館行くんでしょ? どっちがいいか決めないとね。」

ちなみに美砂達やあやか達はタマモと帰って来てからの約束を幾つかしていて、先日横島がゴールデンウィークに動物園か水族館に行きたいと言い出したこともそのまま決まりつつある。

それと美砂達はタマモやさよと一緒に異空間アジトでのお花見をしようと大分前から約束もしていて、こちらは異空間アジト内の日本列島の東北か北海道でお花見をしようと相談していた。

実は異空間アジト内にはお花見スポットが幾つかあるが、ハニワ兵達は過去の時代を意識した街を各地に造っていて北海道なんかは函館や小樽なんかが明治大正時代の街をそのまま復元しているのだ。

東北には江戸時を復元した街も幾つかあるので美砂達はそんな街でお花見しようと計画していたのである。


「うん。 おはなみもどうぶつえんもすいぞくかんもいく。」

結果としてこの日のタマモはいつも以上にみんなに甘えて抱っこしてもらい、離れてる数日分を甘えていくことになる。






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