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白き狼と白き狐と横島

「すみません、先生……」

「今日は休みなさい。 これは命令です」

謝るばかりで事件へのこだわりが消えない西条を、美智恵は半ば強引に休ませる

現状の西条では疲労で使い物にならないし、少し頭を冷やさせる必要もあるのだ


「はい、わかりました」

いつになく厳しい表情の美智恵に、西条は大人しく従い事務所を後にしていく

残された美智恵は、そんな西条をため息と共に見送っていた


(もう少し柔軟な思考が出来れば文句ないんだけどね……)

オカルトGメンの捜査官として期待以上の働きをしている西条には、美智恵も常に感謝している

組織の補佐役としては十分合格点であるが、組織を動かす側としてはいささか頭が固すぎるのだ


(西条君の悪いとこよね。 自分の正義が常に正しいと思ってるのは……)

西条が散らかした殺人事件の資料に目を通す美智恵は、目先の事件の解決に捕らわれ過ぎてる西条に頭を悩ませる

確かに心霊捜査は日本には必要だろうが、導入にはかなりハードルが高い

警察側も心霊捜査に対応する準備や環境が整ってない上、肝心の心霊捜査をする霊能者側の準備も全く整ってないのだ


(心霊捜査を導入するには、社会的なオカルトに対する理解が必要なのよね)

科学が全盛の現代で心霊捜査を導入するには、様々な越えるべきハードルがある

しかし西条はそれをあまり理解してない節があった

今回も心霊捜査の導入を焦る余り、警察側と摩擦が激しいのだ

これではいくら成果を上げても、誰も心霊捜査など導入しようとしないだろう



(そろそろなんとかしなきゃダメね)

再びため息をはいた美智恵は、若干気が重い表情で何処かに電話をかけ始めた


「お久しぶりです。 美神美智恵です。 少々お願いしたい事がありまして……」

いつになく丁寧な言葉の美智恵が電話したのは、ある大物代議士である


「ええ、警察庁側との会合の場を設けて欲しいのです」

簡単な会話であったが向こうもおおかたの要件は理解しているようで、近々警察庁首脳と美智恵の会合が行う事を約束していた


(西条君には悪いけど、オカルトGメンとしては警察庁とのこれ以上の対立は避けたいのよね)

事件解決に熱を上げてる西条の気持ちは理解するが、美智恵としては事件の解決よりも警察側との関係の方が重要である

社会的注目を集めてる事件なだけに、対応を間違えれば警察庁とオカルトGメンの泥仕合になるだろう

この時、美智恵は密かに事態の収集に向けて動き初めていた


一方オカルトGメンの事務所を後にした西条だが、自宅には戻らずに事件の捜査を考えていた


(霊視でダメならサイコメトラーが必要だな……)

捜査手法を広げる必要があると判断した西条は、サイコメトリーの能力を持つGSに事件の捜査を依頼しようと考えている

美智恵には休めと言われたが、事件が気になりとても休む気が起きないようだ


「ちょうどいいから午前中に回ってみるか……」

捜査自体は美智恵の手間出来ないが、新たに捜査してくれるサイコメトリーのGSを探しに車を走らせていた


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