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二年目の春・3

同じ頃、超鈴音は大学部にある自身の研究室で一人考え込んでいた。


「茶々丸はどう動くかナ。」

超自身は元々忙しい中で麻帆良祭での計画に向けて動いているので、それこそ本当に寝る暇もないような日々を送っているがやはり茶々丸のことが気になっている。

一体茶々丸は誰を頼りそしてどう動くか。

超の予測としてはエヴァが積極的に関与するかしないかで変わるが、茶々丸は最終的に横島に頼りもしかするとすでに動いているのではと考えていた。


「すでに詰んでる気がするネ。」

相変わらず横島への危機感を感じる超と横島が動いても問題ないと考える葉加瀬の溝は大きい。

そもそも超の計画は麻帆良祭前に露見するとそれだけで計画成功の確率がガクンと下がってしまうので、勝負は麻帆良祭までに隠し通して準備を終えれるかである。

正直なところ計画用のアンドロイドを量産している真っ只中のこの時期に計画の一部を知る茶々丸の離反は致命的としか言えないのが実情なのだが、茶々丸はエヴァの従者なため超鈴音といえども軽々しく手が出せない。

下手な小細工をすれば封印が解けてる現在のエヴァならば何をされるか分からない恐怖があった。


「計画を根本から変更すべきか?」

結果としてすでに漏れた情報は最早止めようがなく、困ったことに横島が刀子や高畑と組んで動けば麻帆良祭まで隠すのは無理だと超は見ている。

しかも今までの横島の行動パターンからすると周りを頼り巻き込むので親しい刀子や高畑は元より近右衛門にもさっさと情報提供している可能性も高い。

本音を言えば現時点でも計画は破綻に近く放棄なり変更なりするべきかと悩んでいた。


「それでも今年を逃すのは惜しいネ。」

実のところ超の計画は世界樹の二十ニ年に一度の大発光を利用した計画以外の他の計画もない訳ではない。

全世界に対しての強制認識魔法も必ずしも麻帆良でなければ出来ない訳ではなく、麻帆良と同等かそれ以上の環境さえあれば他でも可能ではあるのだ。

ただしそのような場所は大概が聖地などとして各国魔法協会が管理していて、拠点の制圧や儀式が必要な強制認識魔法などおいそれと使える場所は麻帆良以外には存在しない。

まあ日本の魔法協会のように甘い魔法協会は他にはあまりなく、聖地のような場所に入り込んで勝手に魔法など使おうとしたら普通に殺されてしまう可能性が高かった。

ちなみに超鈴音は強制認識魔法で地球側を変革した後には魔法世界においても動く計画があり、具体的にメガロメセンブリアやヘラス帝国は解体するつもりである。

彼女の未来においてメガロメセンブリアの特権階級の者達は魔法世界崩壊の際に我先にと地球側に逃げ出していて、彼らはその後地球側の権力に入り込みやがて魔法世界に取り残された元魔法世界人達と戦うことになるのだ。

というかそもそも火星のテラフォーミングを最初に始めたのは取り残された魔法世界人だったが、ある程度テラフォーミングが成功した段階で宇宙に進出していた地球側が火星に進出し始めて領有権などで対立したのが未来での戦争の元凶になる。

そしてその裏には火星に再び自分達魔法使いの国家をと理想を掲げる元メガロメセンブリアの勢力の存在があり、取り残された元魔法世界人は自分達だけ逃げ出した元メガロメセンブリアの勢力を激しく憎んでいたので争いが一向に終わらずに超鈴音が過去に来ることになったのだが。


「修学旅行中に決断する必要があるネ。」

少し話が逸れたが超は麻帆良祭での計画を続行するのか一旦中止して一から計画を練り直すのか、修学旅行期間中には結論を出すことにする。

それがすでに手遅れだとは知らずに。




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