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二年目の春・3

「修学旅行の間大丈夫やろか。」

「四日間ですからね。」

そんなこの日も相変わらず放課後には学生達で賑わっている店内を見て、木乃香と夕映は修学旅行期間中のことを心配していた。

修学旅行は四泊五日の日程であり事実上木乃香達が夕方居ないのは四日ほどになるが、放課後は横島とタマモだけでは流石に厳しいのだ。

まあ気心知れたとまでは言えないがお客さんのほとんどは馴染みの常連達なので文句は言わないだろうが、新規や一見さんの客も居ない訳ではない。


「茶々丸さんに頼めば? エヴァちゃんが行かないから茶々丸さんも修学旅行行かないって言ってたよ。」

横島はこの件に関しては数日ならなんとかなるだろと軽くしか考えてなく、木乃香と夕映は新堂にでも相談して数日だけ働けるバイトを探すべきかと悩むがそんな時に予期せぬことを告げたのは桜子だった。


「茶々丸さん行かへんの?」

「うん、そうみたい。」

実は茶々丸は修学旅行で一緒に行動する班決めの時から修学旅行の不参加を明言していたらしく、班決めの時に一緒に居た桜子達は知っていたらしい。

木乃香は何故行かないのかと首を傾げるも、夕映は義理堅い茶々丸がエヴァに遠慮したのだろうと推測する。

実は茶々丸はホワイトデーの時に横島から見た目が人間に見えるマジックアイテムを貰ったので、本人が行きたいならば行けないこともなかったのだが。

エヴァに関しては呪いから解放されたとはいえそれが秘密である以上は、闇の福音と呼ばれる存在が修学旅行に参加して麻帆良を離れるのは避けた方が無難なのは確かだった。

夕映は少女達の中では魔法協会の人と交流があるので、一部の魔法協会関係者が驚くほどエヴァを恐れてることも理解している。

尤も夕映からするとエヴァはタマモと並んで高笑いしてるイメージが強い上、自分達も魔王ともいえるアシュタロスの遺産でバカンスをしてるので恐いという印象は皆無だったが。

客観的に見て自分達はメガロメセンブリアが誇る立派な魔法使いのような正義の側よりは完全に魔王寄りの立場だなと思うも、横島や刀子やエヴァと一緒に居るせいかメガロメセンブリアの好感度がドン底なので全く気にしてなかったりする。


「茶々丸さんなら安心ですね。」

「そうやな。 お願いしてみよか。」

結果として夕映と木乃香は迷うことなく茶々丸に自分達が留守の期間をお願いすることにする。

料理や接客の能力は申し分ない上に、事実上身内であることから変に横島に取り入ったりしないという点が木乃香達とすれば安心出来るポイントだった。

流石に現在は横島があからさまに女に騙されるとは思ってないが、横島の優しさや甘さに女が漬け込む可能性はまだ否定出来ない。

横島にしてもつい魔が差したなんてことがない訳でもないだろうし、面倒見がいいというか突き放すことが出来ない性格でもあるので不安にはなるのが本音なのだ。

実のところ魔法協会絡みの女性を抜きにしても現状では密かに横島の店のバイトを狙ってる人は多い。

常連の女子中高生からパティシエ関連の人までそれなりに狙ってる人は居る。

前者は単純に楽しくてお金が稼げそうなことから人気だし、後者は横島に弟子入り志願したい者など居るのだ。

いろいろ秘密を抱える横島がおいそれと雇うとは思えないが、せっかくの修学旅行なのだから余計な不安は消していくに限る。

最終的に二人はすぐに茶々丸に連絡を取り修学旅行期間中のアルバイトを頼み快諾してもらうことに成功した。






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