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二年目の春・3

「あら、いいお店ね。」

「ありがとうございます。」

さてここ数日の店には新しいお客さんがちらほらと増えていた。

四月ということもあり新しく麻帆良にやって来た人達が四月も半ばに入り学校や職場に落ち着き、常連の誰かに連れられて来る人が多くなっていたのだ。

付近には女子寮が多いこともあり新しいお客さんは女子中高生が多いが、麻帆良カレーが正式に実行委員会公認の加盟店を発表したことでそちらのお客さんも流れて来ている。


「一人じゃ大変じゃない? 手伝ってあげよっか?」

「せっかくですけど昼間は一人でやってるくらいがちょうどいいんっすよ。」

そしてここ数日で店に姿を見せ始めたのは魔法協会絡みの人間も居た。

特に二十代で先日の魔法協会の新人研修で会った女性なんかは早くも店に顔を出していたのだ。

魔法協会のサークルに勧誘したりするのは当然として、個人的な話を振って横島の反応を見たり店の手伝いをするとまで言う積極的な女性も居るが今のところ横島の反応はいまいちパッとしない。


「定休日も無しって大変ね。」

正直女性と仲良くなれるのは横島としても悪い気はしないのだが、目的が初めからお金だったり魔法使いとしての実力だったりと打算的な狙いが透けて見える相手ははっきり言えばあまり嬉しくない。

無論打算を否定する訳ではないが、最低限自分を見ようともしないような女性と親しくしたいと思うほど今の横島は女に飢えてないのである。

加えて横島自身は全く自覚はないが横島は昔から周りに愛されて来た人なので、打算なんかで女性と付き合うなんて考えもしないのが本音なのだろう。


「いつものやつを頼む。」

ちなみにそんな魔法協会の女性を嬉々とした表情で挑発するように横島に親しげに絡んでいたのはなんとエヴァであった。

意味ありげに横島を呼び止める際に横島にあえて触れたりして女性を挑発して遊んでいる。


「あのさ、まあいいんだけど。」

それと打算的な女性に関してはタマモも本能的に避けてるようであまりなつかないと言うか近寄らなく、タマモはこの日も来ていたエヴァとエヴァ目当てに集まった年配男性達と一緒にいた。

結果としてあまりにあからさまに挑発するエヴァに打算的な女性は不快感を露にしてエヴァを睨むが、逆にエヴァに勝ち誇った笑みを返されるのみである。

相手はエヴァの正体に気付きもしないようで火花をバチバチと散らせては周りの年配男性達が面白そうに眺めている。

というか大人バージョンのエヴァの美貌にその辺の女が勝てるはずもなく、なにもしなくても悔しそうな表情をしてしまうかもしれない。


「モテる男も大変だな~。」

「いい加減にせんと、そのうち刺されるぞ。」

横島としてはあんまり話をややこしくしないで欲しいと内心でため息をこぼしているも、相手が打算的な女性である限りはまあいいかと止めることまではしなかった。

恋愛オンチと言われてはいるが横島は基本的に人の感情なんかは見抜けるので、打算的な女性が木乃香達とも生理的に合わないのは理解はしている。

流石に木乃香達と険悪な関係になるならともかく、横島自身も若干扱いに困っていた肉食女子を相手にするくらいならば横島に損はなかった。

ただまあ事情をよく知らない年配男性達には横島を巡る修羅場だと、面白半分でからかわれていたが。



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