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二年目の春・3

「次、放て!」

同じ頃横島達が噂していた高畑は刀子と共に麻帆良市郊外にある麻帆良飛行場にて、魔法協会の夜間の戦闘訓練に参加していた。

参加者は幾つかのグループ分けをされていて、魔法の矢を使える者は十名一組に分けられて一斉に魔法の矢を放つ訓練をしている。

ターゲットは刀子の陰陽術で作り出した身代わりの式神であり、基本的には人間の姿をしたものになる。

実は魔法協会といえども実際に攻撃魔法で人と戦ったことのある者は意外に少ないので、こうした人間の姿をした相手へ攻撃する訓練から始めねばならないのが実情だった。

ただまあ夜間に同じタイミングできちんと目標を攻撃するというのは案外難しく、何度か練習をせねば外す者までいる。


「さてと、君達の相手は僕だ。 本気で来ていいよ。」

一方高畑何人かの魔法協会の実力者と一緒に豪徳寺達や古菲や高音に愛衣などのより戦闘が得意とする者達の訓練相手をしていた。

こちらは実力者によってそれぞれハンデが違うが高畑は一対三十のハンデ戦であり一人で三十名の魔法関係者を一度に相手にするものの、過去このハンデ戦で高畑に勝てた者は居ない。

目的はあくまでも集団戦闘訓練なのであるが、人数が増えると統制が取れなくなる上にこの戦闘訓練に加わる者はみんな実力に自信ある個人なので連携があまり得意でなく逆に集団戦闘が足を引っ張る場合がある。


「行くアル!」

「囲め! 固まるとやられるぞ!」

「援護します!」

ただ今回は表の世界で有名な古菲と豪徳寺達が加わったことで彼らの対戦は周りの魔法関係者の注目を集めていた。

以前から時々高畑に修行をつけて貰っていた古菲達は一対複数に慣れていたので、古菲や豪徳寺達が高畑を囲むように接近すると他の魔法使いが援護として魔法を放つ。

麻帆良の魔法関係者でも接近戦で古菲達に勝てる者は多くないし、後方から援護をして連携すると尚更である。

これはあくまでも戦闘訓練なので集団で連携して敵を倒すのが目的だった。

「それでいい。 数の利を生かすには下手に纏まらない方が無難だからね。 後ろの敵の攻撃を見切れる者は多くない。」

ただ異空間アジトでは横島にハンデ戦で負けてシミュレートされたアーウェルンクスに勝てない高畑だが、それでも横島とエヴァと近右衛門を除けば麻帆良では無敵であり一対三十のハンデ戦もアドバイスするほど余裕がある。

死角をついた攻撃も余裕でかわすし、魔法すらも居合い拳で迎撃してしまう。


「相変わらず強いな!」

「勝つ以前に一撃も入れられん!」

「世の中には僕より強い人もいる。 強くなりたければもっと修行することだね。」

最終的に高畑は一撃も相手の攻撃を食らわずに古菲達を戦闘不能にしてしまい、後方の魔法使い達も成す術もなく倒してしまった。

無論古菲達は史実よりかなり強かったのだが、運の悪いことに高畑も史実より強くなっている。

この数ヵ月のエヴァや横島との修行は確実に高畑の実力を上げることにはなっていたのだ。

このあと高畑は誰一人一撃の攻撃も受けることなくこのハンデ戦闘を乗りきることになる。


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