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その二

唐巣の問い掛けに少し悩む横島だが、全て秘密にする訳にもいかずに語れる範囲で語ることにした


「来い!」

指先にほんの少しの霊力を高め、横島は草薙の剣を召喚した

この魔法はかつて未来において、横島が魔法のほうきの運用に使っていた魔法である


「それは魔法かい? それにその霊刀は随分強い霊力を秘めてるね」

横島が魔法を使ったことにも驚く唐巣だが、彼が本当に驚いていたのは横島が呼び出した霊刀である


「一番簡単な物の移動魔法っすよ。 特定の契約した物の移動が可能なんです」

横島の説明を興味深げに聞く唐巣とエミ、そんな二人の前で横島は刀を抜く


「この刀で犬飼と戦うつもりです。 魔法でスピードさえ上げれば奴の斬撃も十分対処出来ます」

「霊刀と言うか、御神刀の類みたいね。 随分いいもの手に入れたじゃない」

うっすらと青白く輝く草薙の剣は、エミですら見たことない代物だったようで興味深々なようだ


「ちょっと訳アリなんですよ。 偶然手に入れましてね。 後はめぐみの魔法とジロウさんの霊波刀で犬飼なら対処出来ると思います」
 
いろいろ聞きたそうなエミを適当にごまかし、横島は簡単な対犬飼戦の方法を説明する


「では後はフェンリルか…」

草薙の剣から感じる凄まじい霊力に、唐巣はこれならば犬飼の八房の斬撃も捌けると判断したらしく、残る課題であるフェンリル対策に頭を悩ませる


「旧世界の神々を滅ぼした化け物なんか話半分でも無理なワケ。 それこそ神族が退治に来るのを待つしかないわ」

お手上げと言った仕種をするエミを、唐巣は苦笑いして見ていた



その後おキヌと冥子を六道家に送った西条達が戻り会議が再開される

冥子に関しては会議では役にたたずに眠そうな為、西条がおキヌの護衛と言う名目で帰していた


「令子ちゃんも何処か霊的防衛の高い場所に隠れてた方がいいんだが…」

「事務所で大丈夫でしょ? 人工幽霊の結界はかなり強力よ」

安全の為に令子には隠れていて欲しい西条だが、令子自身は隠れるのはあまり気が進まないようだ


「出来れば人の居ない場所に隠れて欲しいのですが、犬飼の襲撃を考えると都内では戦いたくありません」

未来を知る魔鈴は内心ため息をはき、令子に別な場所に隠れるように進める


「あたしだって仕事あんのよ。 それともあんた休業保障するの?」

犬飼の危険性は知っているし、危険な中仕事するかわからない令子だが、魔鈴に言われるとムッとした

元々他人に言われた事を素直に聞く事が嫌いな令子なのだ

特に魔鈴は横島の件以来、何かと気に入らない

おキヌの復活の時や戦国時代の事もあり、表立って嫌悪感を露にすることはしなくなったが、やはり気に入らないと言うのは変わらないのだ


「では御自由にどうぞ。 こちらとしては危険性も伝えましたし、一般人への被害が出ることも伝えました。 その上での判断は美神さん次第ですから、結果責任もしっかりとって頂きます」

ニッコリと笑顔で語る魔鈴だが、その突き放した言い方は非常に冷たい


一方、ムッとする令子と笑顔で突き放す魔鈴を一番楽しそうに見ていたのは、もちろんエミだった

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