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二年目の春・2

「甘いっすよ。」

さて白いハニワ兵の誕生で盛り上がった横島と少女達だが、この日は異空間アジトに一泊することになり誕生会のあとには横島が高畑に頼まれ霊動シミュレーターで相手をしていた。


「ほとんど使ったことない魔法の矢だけでこのざまじゃ、流石に自信が無くなるよ。」

ただ前回と違うのは横島が力をセーブして霊能も術も何も使ってないとこだろう。

一般的な魔法関係者と大差ないスピートとパワーで動き攻撃も無詠唱ながら魔法の矢のみに限定したハンデ戦である。

結果としては高畑の攻撃は流石に完全には避けれはしないものの全て防御されるか受け流されていた。

しかも攻撃も魔法の矢を使ってはいたが高畑の目の前で魔法の矢同士を衝突させて目眩ましに使ったかと思えば、魔法の矢を高畑が避けるとわざと魔法の矢を暴発させて嫌がらせ程度のダメージを与えるなど戦い方はかなりえげつない。

だが裏を返せば一般的な魔法関係者のレベルでも戦い方次第では渡り合えることの証明でもある。

まあ横島からすると本来の戦い方であるし強い相手との戦いは慣れてるので、今の横島ならば高畑を相手に負けない戦いが当然出来ていた。


「今日の戦い方は分かりやすいわね。」

「うんうん。」

ちなみにこの日も少女達が揃って見学していたが、横島がハンデ戦で戦ってる影響で一般人に近い少女達も見応えがある戦いになっている。

無論高畑も決して弱い訳ではないが、横島が相手だと攻撃がまともに当たらないので魔法の矢でチビチビとダメージを重ねていた。


「高畑先生の攻撃が完全に先読みされてるわ。 あれであのスピートでも対応出来るのね。」

実は横島が高畑の超スピートに対応してる原因は攻撃の先読みにあり、前回に続き二度目なので動き自体が完全に読めていることもある。

この辺りは横島本人よりは受け継いだ魂の技術であり戦いながら相手を分析することすら可能であった。

しかも体術ではハンデ戦でも全く歯が立たないので距離を空けた無音拳で勝負してるが、それでも魔法の矢を完全には防げないでいる。


「そろそろ終わりにしましょうか?」

現状で横島は魔法の矢の威力をあえて抑えて一般的なレベルで撃っていたため、高畑にたいしたダメージを与えられなく戦いが長引いていた。

元々魔法の矢は術者の魔力や込める魔力量により威力が変わるもので、ナギのような魔力の持ち主はそれだけで強力な一撃になるが横島はあくまでも力をセーブして高畑に勝つ気らしい。


「いい人過ぎるんっすよ。 高畑先生は。 戦い方まで人のよさが出てますからね。 そこは気を付けないと漬け込まれますよ。」

そして高畑は横島が終わりにすると聞き咸卦法の密度を上げ警戒するが、横島は高畑がハンデ戦であることが心のブレーキになり戦い方が甘いと感じている。

なんというかかつての唐巣のような人の良さがどう考えても高畑の欠点だった。


「なっ……。」

最後の攻撃だが高畑の剛殺居合い拳を横島の三十本の魔法の矢を一本に収束させた、収束魔法の矢とでもよぶ一撃に貫通されてしまい高畑はモロに吹き飛ばされて終わる。

魔法の矢を収束させるのは何も横島だけではなく割と使える技だが、三十本を無詠唱で完全に一本に収束させる技術はエヴァクラスでないと無理なものだった。

結局高畑は成す術もなくこの日も負けることになっていた。




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