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その二

「そうだわ! おキヌちゃんを避難させないと! でも、何処に避難させるかが問題よね」

魔鈴の言葉に即座に避難が必要だと判断した令子だが、問題は避難させる場所である

霊的防衛に優れ、六道女学院に通える場所でなければならない


「冥子、しばらくあんたの家でおキヌちゃん預かってくれない?」

しばし悩んだ令子が下した判断は、六道家におキヌを預けることであった

氷室家と言う実家はあるがおキヌが実際に氷室家と暮らしたことは無いし、東京から遠すぎて学校に通えない

それに霊的防衛と言う点では六道家は日本でもトップレベルである


まあ、魔鈴の事務所も同じくらい霊的防衛が優れてはいるが令子は知らない

それに令子は、魔鈴や横島に借りを作るのはエミと同じくらい嫌だった

そんな微妙な損得勘定も絡み、六道家に預けることが最善と言う結論に達している


「いいわよ~ でも今から行くの~?」

時間は深夜なため少し眠そうな冥子だが、令子に頼られるのは嬉しいようで表情が明るくなった


「ええ、早い方がいいわ。 西条さん車出して貰っていい?」
 
「ああ、僕が六道家まで送って行こう」

令子が西条に車を頼み作戦会議は一時中断され、西条の車でおキヌを六道家に避難させることになった

運転する西条に令子と冥子、それと護衛に魔鈴が一緒に行く


一方、深夜に突然令子に起こされたおキヌは驚きを隠せないが、説明を後回しにして簡単な着替えを持ち六道家に向かう



「美神さんは大丈夫なんですか?」

六道家に向かう途中ある程度事情を説明されたおキヌは、自身の安全より令子の安全を心配している


「私は大丈夫よ。 あんな犬に遅れは取らないわ!」

「僕も令子ちゃんの護衛に回る。 この機会を逆手にとって、奴を退治してやるさ」

自信満々に言い切る令子と安心させるように語る西条に、おキヌの表情は和らぐ



一方オカルトGメンに残った面々は今後の方法を話し合っていた


「ねえあんた、フェンリルになる話は本当なの? 令子や横島の話で厄介なのはわかるわ。 でもフェンリルになった前例は無いんでしょう?」

横島達と共にオカルトGメンに来ていたジロウに疑問をぶつけたのはエミである

エミはフェンリル化の話自体を疑っているようだ

いかにフェンリルの末裔とはいえ、刀一本で伝説の存在になれるなどいささか不自然に思えるのだ


「確かに八房でフェンリルになった者はおりません。 しかしながらあの刀が人狼の中に眠る封印された力を呼び起こすのは確か。 我々人狼族にはフェンリルになれると伝わってます」

険しい表情で話すジロウの言葉に考え込むエミと唐巣

可能性がある以上、フェンリルの対策も必要である


今回令子が手も足も出なかったことで、エミの中で犬飼とフェンリル化への危機感が高まっていた


「横島君、君と魔鈴君は犬飼を退治する方法があるようだが良ければ話してくれないか?」

唐巣は今回の作戦の核心を知る横島に犬飼を退治する方法を尋ねる

彼の場合は横島や魔鈴を疑っていると言うよりは、心配しているようだ

二人が優秀なのは香港で知ってはいるが、横島はGSになったばかりだし魔鈴もまだ若い

そんな二人を心配して必死に自分に出来ることを考えていたのだった

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