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二年目の春・2

翌日の火曜は年に二回の学園のシステムメンテナンスの為の停電の日となる。

本来ならばこの日はエヴァとネギが戦う日となるはずだったのだが……。


「ハッハハハハ、私に勝とうなど十年早いわ!」

「こっちは十年も待ったら墓の中だよ。」

この世界のエヴァは朝から横島の店でまた近所の年配者を相手に囲碁で勝負をして圧勝したらしく、隣で見物してるタマモと一緒に得意の高笑いが出るほど上機嫌であった。


「うむ、ここの一手が凄いな。」

「プロでも通用しそうだ。」

しかもこの日はいつもに増して暇な年配者が多かったらしく周りには年配者の見物人まで出ている。

負けた年配者は悔しそうではあるが、次は勝ちたいと終わった対局を見直して見物人の年配者達とああでもないこうでもないと議論していた。


「次はワシが相手だ!」

「無駄だ、貴様らごときでは私には勝てん。」

エヴァは年配者の相手はするが横島と違い手加減などしない上に思いっきり上から目線で見下している口調なのだが、どういう訳かエヴァの見下した口調と冷たい視線がたまらないと男性年配者達を虜にしている。

おかげで店にはエヴァとの対局待ちの年配者が居るのだが、エヴァも暇らしくまだ勝負に付き合うらしい。


「ここに打って、こっちから攻めた方良くないっすか?」

「だから貴様は余計な口出しするなと言ってるだろうが!」

ちなみに横島はエヴァ達の対局をずっと見てるほど暇じゃないので、時々やって来ては負けてる年配者側にアドバイスをしてはエヴァに怒られていた。

ぶっちゃけ横島は本気になればエヴァよりも強いので時々口出しすると何気にいい勝負になってしまうのだ。


「ワシが勝ったら一緒に食事に行ってもらうからな!」

「年を考えろ、スケベジジイ。 黙って同年代で茶飲み友達でも作ってろ。」

「ワシは若い姉ちゃんが好きなんじゃ! なんなら遺産やるから後妻にならんか?」

「寝言は寝てから言え。」

そのままお昼過ぎまで対局は続くが、途中でエヴァを口説きにかかる猛者も居たりして店の一角は盛り上がっている。

なおエヴァの飲み物や食事代はスケベな年配者が格好付けて奢ると言っていたので、エヴァはただで好きなだけ飲み食いしていた。


「残念だが私はあの男のモノなのだ。」

「またマスターか!」

その後スケベジジイとの対局はエヴァが勝ったらしいが途中で余計な口出しをした横島への報復として、エヴァはまるで自分は横島の女だというデマを口にして横島を地味に困らせることになる。

その話はすぐに年配者の常連から女子中高生の常連へと伝わり、伝言ゲームのごとく広がって横島は外人の美女まで手を出してると噂されることになる。

ただまあ最早呪いに苦しみ封じられた屈辱を晴らそうとする孤高の魔王さまが存在しないのはいいことなのだろうが。



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