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二年目の春・2

シャークティの追求を交わした横島と刀子だが、食事会が終わると二次会に参加する者達の誘いを断り少女達と帰路に着いていた。

どうも未成年を含めた食事会のあとには大人達による二次会があるらしいが、横島はタマモが居ることを理由に抜けている。

刀子いわく付き合うと朝まで飲まされるとのことなので小さな子供を理由に残念だけどという体裁で断ってはいたが、実際には少女達の一緒に帰ろうという笑顔の圧力に負けただけだったりする。


「魔法協会も結構美人が多かったな。」

元々横島という男は社交性は無駄なほどあり気も多い人間なので、先程の食事会でもかなりの人数と挨拶を交わし談笑していた。

しかも特に二十代の女性は相手から横島に接触して来た人も何人か居たりして、サークルに勧誘されたり今度個人的に符術を見せてほしいと誘われていたりもする。

横島自身は麻帆良に来て以降はかなりモテるのであまり気にした様子はなかったが、数人は明らかに刀子や木乃香達を意識しつつも遠慮することなく横島を狙っていた。


「魔法使いって恋人探しが大変なのよ。 基本的に結婚が決まるか前提にした相手でもなければ秘密は明かせないもの。 それに優秀な魔法の才能は遺伝による要素が大きいから……。」

美味しいものを食べて二十代の美人にちやほやされた横島はタマモを抱いたままご機嫌な様子で歩いているが、横島の気付かぬというか理解出来ぬところで女の戦いを仕掛けられた刀子と少女達は少し面白くなさそうである。

ただ面白くないと感じていても詳しい事情を理解してない少女が多いことから刀子は横島に聞かれないようにと歩きながらも小声で説明していくが、それは魔法協会のリアルな男女間の問題であり歴史や魔法について調べていた夕映やのどかですら知らないことだった。

どうもあやかと千鶴辺りは知っていたようであるが、魔法関係者の優秀だったり見た目がいい独身の男女は異性に狙われやすいらしい。


「まして横島君の場合は目に見える欠点があまりないから。」

男女間の秘密は隠せば隠すほど後々問題になることも多く、一般人との恋愛は隠す心理的ストレスはもちろんのこと明かした後の信頼関係構築など細かな問題が多い。

魔法を隠していたことで魔法がバレた際に信頼関係が崩れ別れたなんて話も、魔法協会ではさほど珍しくはなく魔法協会ではその時に魔法を知った相手が騒いだり暴露しないように対応するのも仕事としてしている。

ちなみに魔法協会の部署である秘匿情報管理部の一番多い仕事は魔法関係者と一般人の恋愛による後始末であり、口の悪い関係者は痴情処理班などと呼んでいるが。


元々横島は本人の性格が三枚目なだけで見た目は必ずしも悪い訳ではないし、魔法使いによく居る下手に気取ったり気位が高い男よりは人気が出るのは当然だった。

まして優秀な魔法使いで資産家でもあるなんて情報が流れてるもんだから、肉食系女子がほっとく方がおかしかった。

刀子の場合は近右衛門に近いので遠慮があったが、末端の若い女性が近右衛門に遠慮するなんて考えるはずがない。


「あー、なるほど。」

横島自身は木乃香や千鶴にあやかが見た目以外の立場や利害関係でモテることを理解しているのでその辺は日頃から気遣ったりフォローしてくれるが、逆にに自分が同じ立場だとは考えてもない。

美砂いわく重度の恋愛オンチの問題点が改めて浮上している。

この時少女達は連れて帰ってきて良かったと心底思うことになる。

別に横島を疑ってる訳ではないがお酒を飲み気分がいい中、ちょっと休んで行こうと女性から誘われて断れる男にもあまり見えない。

結局少女達と刀子は魔法協会に関わることにより魔法よりも新たな問題が生まれることになってしまった。



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