このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

二年目の春・2

その後も横島達の元には先程の明石教授など多くの魔法関係者が顔を出しに来ていた。

横島の注目度と木乃香・あやか・千鶴の麻帆良御三家の娘が居るからだろうが。


「あいつら何やってるんっすか?」

「ああ、腕相撲をしてるみたいだよ。 魔法バトル同好会の人達がよくやるんだ。」

そんな横島達は割と普通に食事会を楽しんでいたが、古菲と豪徳寺達は大勢の人に囲まれ声援や歓声が聞こえるほど何か騒がしくやってるようだった。

横島はふとタマモを抱き抱えて見に行くとどうやらパワー自慢の魔法関係者と腕相撲をしているらしい。


「おい! 戦いの歌を使って負けたぞ。 さすがチャンプか、気で強化されたら戦いの歌でも力負けするとは。」

魔法バトル同好会は主に肉体強化の魔法である《戦いの歌》やその上位呪文である《戦いの旋律》や気による肉体強化で格闘中心のバトルをする同好会である。

彼らは表の世界の麻帆良最強である古菲と次点で強い豪徳寺達と腕相撲で勝負を始めたらしいが、気による肉体強化を習得したらしい古菲がムキムキの肉体を持つ魔法バトルの強者を相手に勝利したようだ。


「随分短期間で腕上げたな。」

「彼女は元々不完全の無意識でも気を使っていたからね。 ちょっと指導したらすぐにコツを掴んだんだよ。 才能があるのは羨ましいね。」

横島も古菲が戦う姿は何度か見かけたが、古菲が本気で気を使う姿を見たのは今日が始めてになる。

思わず驚きの声を上げた横島に古菲の指導を少ししたらしい高畑が声をかけるが、古菲の気を使う上達スピードは驚くべきものがあった。

現時点では高畑や刀子には流石に負けるが、すでに一般の魔法関係者の中でも屈指の実力を持つ魔法バトル同好会のメンバーを凌駕している。

はっきり言えば横島から見ても尋常ではない成長スピードだった。


「おお! 名誉顧問の高畑先生だ!!」

「高畑先生! ぜひ勝負して下さい!!」

ちなみに魔法バトル同好会では高畑を勝手に名誉顧問として指名していて、高畑に修行を頼んだりバトルの相手を頼んだりとすっかり仲間として扱っている。

魔法関係者では戦士タイプの最高峰である高畑なだけに同好会では神のように受け取られていて、高畑自身も時々修行くらいはつけてやってるらしい。

この日も高畑は腕相撲勝負に駆り出されてしまい、魔法バトル同好会のメンバーを次々に破っていた古菲とのバトルが実現することになる。


「どうでもいいがテーブルが持たんと思うんだが。」

「そうだ、テーブルが持たんぞ。 誰かテーブルの強化を!」

数々の屈強な男達を破る古菲と高畑の腕相撲勝負は予想外に注目を集め、周囲には会場のほとんどの人間が集まっていた。

少し異様な雰囲気の中で今にも勝負が始まろうとするも横島はどう考えてもテーブルが壊れると冷静に突っ込んでしまい、会場に居た魔法関係者がテーブルを魔法で強化しての勝負となる。


「わたしもやりたい……。」

「タマモは危ないからあとで木乃香ちゃん達とやろうな。 あの人達は特殊な訓練を受けた人達だから。」

二人の勝負は流石に高畑の圧勝というか余裕の勝負であっさりと決まってしまう。

こればっかりはいくら古菲でも無謀と言うしかないが、この時タマモが自分も腕相撲をやりたいと騒ぎはじめてしまい横島は慌ててタマモを木乃香達の元へと連れて戻っていく。

相変わらず好奇心旺盛なタマモであるが、こればっかりはやらせる訳にいかないのでただただ苦笑いを浮かべるしか出来なかった。





81/100ページ
スキ