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二年目の春・2

さて肝心の食事会は近右衛門の簡単な挨拶の後に始まるが、特に席が決まってる訳ではないのでそれぞれが自由に食事を楽しんでいく。

先ほど勧誘していたサークルに早くも興味を示しサークルのメンバーと食事する新人なんかも居る中、横島達のところにはシスター姿のシャークティがやって来ていた。


「初めましてってほどでもないけど、横島君以外はきちんと話をするのは初めてよね。 シャークティよ。 よろしくね。」

シャークティに関しては時折刀子と一緒に横島の店に来ることもあり少女達も顔は知っているし、刀子と同じ広域指導員としてそれなりに有名な人物である。

彼女は普段はシスターとして武蔵麻帆良の教会で勤めて居るが聖ウルスラ女子高校の臨時教員としても働いているので、一般的にはシスターと呼ばれるか先生と呼ばれることが多い。


「シャークティ先生はかなり多彩な魔法の使い手だとか。」

「あんまり難易度の高い魔法は使えないけどね。 基本的な系統は一通り使えるわ。 よく器用貧乏なんて言われるけど。」

少女達は以前刀子からシャークティも魔法関係者だと話は聞いていたが、お互いに横島の店で会う以外の接点がなく魔法関係の話をするのは今日が初めてであるがあやかは彼女の噂を知っていたらしい。

実はシャークティは戦闘力は刀子には及ばないが闇以外の光・火・水・氷・風・土・雷・治癒などかなり多彩な系統を使いこなす魔法使いとして有名である。

あまり難易度の高い魔法は使えないのだが、ぶっちゃけ麻帆良だとそんな難易度の高い魔法は使う機会がほとんどないので評価はかなり高い。


「それは凄いですね。」

「そうでもないわよ。 私は魔法の適正が人より少し多いだけで後は人並みだもの。 刀子とか高畑先生みたいな人とは違うわ。」

一般的に西洋魔法使いは二つか三つの適正がある魔法を習得するのが普通で、シャークティのように使える系統が多い魔法使いはエヴァのような特殊な事例を除くとほとんどない。

元々魔法は系統により特性があるが毎日敵対する魔法使いや妖魔と戦うような生活をしてる訳でもない一般的な魔法使いにとって、必ずしも使える種類を増やすことはプラスにはならないのだ。

ちなみに西洋魔法は基本的に精霊の力を借りた魔法であり、精霊との相性により向き不向きがある。

精霊との相性が良くなくても必ずしも使えないということではないが魔法の習得に苦労したり、習得しても威力や効果が適正がある魔法に比べて弱くなりやすいという事情もあった。


「シャークティは魔法に対しても真面目なのよね。」

一方刀子は友人でもあるシャークティの魔法の話で盛り上がる少女達を見ながら、ふとこぼすように本音を呟く。

元々クリスチャンである彼女は同年代の女性と比較してもかなり真面目というかお堅い方になる。

魔法や魔法協会に関しても刀子は半ば義理で付き合っているのに対して、シャークティは人々の役に立ちたいという信念から加わっていた。

まあ高音のように現実を無視した極端な考えは持ち合わせてないし、普通に人としての幸せも求め生きているが。



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