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母からの伝言

令子自身も半信半疑な中で母である美智恵の事を語り出した頃、突然幼い令子が目を覚まし辺りをキョロキョロと見回す


「ママー!! ママー!! ママはどこなのー!!!」

辺りを見渡した幼い令子は母親の姿がないのに気付くと、まるでこの世の終わりかと言わんばかりの泣き声を上げて騒ぎ立てる

慌てて令子とおキヌがなだめようとするが、全く聞く様子もなく落ち着く気配もない

結局この辺りは未来の時とあまり変わりなく、幼い令子が泣き止むのはしばらく先のことだった



「あれがハーピーですか……」

一方魔鈴とカオスは、美神事務所に配置した使い魔が捕らえたハーピーの映像を見ていた

二人は先程美智恵が過去から来たのも当然見ていたが、その後の幼い令子の騒ぎは見てない

というかカラスに付けた小型カメラで、外から事務所の中を見るのは無理なのである

それに二人は幼い令子のことはあまり興味もなく、ただ周囲に居るはずのハーピーを探していたのだ


「この事件も忠夫さんから聞きましたけど、いろいろ不可解なんですよね」

過去からやって来た美智恵と、まるでタイミングを合わせたかのようなハーピーの襲来が同じだったことが本当に偶然なのか魔鈴は疑問であった

しかも時間移動が危険な能力なのは美智恵でも変わらないし、何故わざわざ未来へ娘を預けに来たのかも疑問が残ってしまう


「仕組んだと考える方が自然かもしれんのう。 偶然だと考えるのは無理がある」

魔鈴の疑問は当然カオスも感じており、カオスは全ては美智恵の計画なのではと考えている

そこで問題になるのは、先程来た美智恵が何をどこまで知っているかであった

現時点では過去の美智恵がこの時代の令子に、時間移動能力者の家系が狙われる危険性を教える為に仕組んだ可能性が高い

しかし先程の美智恵がすでに全部知っていて、歴史を導いてる可能性も決して低くはないのだ


「私達の最大の障害は彼女なのかもしれませんね」

未来を知る今でも数多くの謎を抱えたままの魔鈴は、自分達の最大の敵は美智恵なのかもしれないと考えてしまう

以前横島と心眼も密かに考えていたことだが、アシュタロスよりも時間移動を行う美智恵の存在の方が厄介であった


「迂闊に動けんのう。 下手に動くと利用されるわい」

美神令子の人生の鍵を握るのは、他でもない横島である

横島本人がどう考えてるかは知らないが、カオスはそう考えてるし魔鈴も同じだろう

そういう意味では美智恵の最大のターゲットが横島である可能性も決して否定出来ない

魔鈴とカオスは真偽が解らぬまま、現在過去未来の複数の美智恵を警戒しなければならない状況に陥っている

アシュタロスだけでも厄介なのに、同じ人間に悩まされる魔鈴は疲れたように深くため息をつくしか出来なかった



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