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二年目の春・2

新人向けの講義や訓練に続き話は魔法協会での報酬や評価制度について説明が行われる。

報酬に関しては任務内容に加えて能力や評価に勤続年数で変わるが、基本的に一般的なアルバイトと比べると安く一般的な魔法関係者がそれだけで生活出来るほどではない。

ただ学生の小遣い稼ぎや社会人の副業としては悪くはなく、評価次第では学園や雪広や那波を筆頭とした支援企業への推薦が行われるので就職にはかなり有利となっていた。

能力の有無は関係あるが中高大と真面目に協力すればほぼ一流クラスの企業に推薦してもらえるのは、学生にはかなり人気らしい。


「就職かぁ。 気の長い話よね。」

「そう言えば最初に私達も言われたっけ?」

魔法協会の任務の礼金や就職に対する推薦などは中高生を中心にした新人が先程までの説明と比較にならないほど食い付いていたが、横島の周囲の少女達とバトルジャンキー組はいまいち反応が鈍かった。

明日菜と美砂達に夏美なんかは最初に魔法を明かされる時に自分達が聞いた特典というか利点を今更ながらに思い出していたが、魔法を明かされた後にいろいろぶっ飛んだ事実を聞いただけにほとんど頭から抜けていたらしい。

少女達が言われたのは高等部や大学部の推薦と学費の援助についてだが、魔法協会でも類似する特典があり審査はあるが推薦や援助をしてるとのこと。

ただまあ現時点で少女達の中ではその特典を受けた者は居ないというか横島から受けるメリットに比べるとたいしたことないので忘れていたようだ。


「でも暇な時間に小遣い稼ぎして就職の推薦貰えるなら悪くないわよね。 私達はどうなんだろ?」

「推薦はともかく学費とかじゃ親に言えないから貰えないしね。」

「コネ入社ってやつ? なんかイメージ悪くない?」

そのまま明日菜達は自分達に就職の推薦があるのかや魔法協会の仕事を手伝って小遣い稼ぎが出来るのかをこそこそと話していたが、実のところ絶対同じ条件が欲しい訳ではなく貰えるなら欲しいかなと言った程度だった。

逆に今から就職の推薦を貰って将来を決めるのも嫌なので暇潰しの雑談程度の話題である。

そもそもこの場では流石に口にしないが横島の周囲では比較的お気楽なメンバーである明日菜達だが、彼女達をもってしても横島が特殊な立場で自分達はその恩恵を人一倍得ている自覚はある。

あまり不要なワガママを言ったりして横島の足を引っ張るような真似はしたくないので、少し気にはなるが近右衛門や刀子に言うつもりはない。

加えて正直なところ少女達の魔法協会への印象は未だにいいとは言えない。

近右衛門や刀子や高畑は信頼出来るが魔法協会というか魔法社会がいまいち幸せに見えないのも大きく、失礼ながら近右衛門達も必ずしも幸せそうには見えないのだから当然だろう。

彼女達は横島と一緒に居る生活が楽しくて好きなのであって別に魔法協会に積極的に関わりないとは思ってなかった。

特に明日菜なんかは親友でもある木乃香の難しい立場を一番見てるだけに複雑な心境もある。


「ねえねえ、そんなことよりせっかくだから帰りにどっか寄らない?」

「賛成!」

ちなみに彼女達が少し真面目に魔法協会の話をしていたのは僅かな時間で、彼女達の話題はすぐにこの退屈な研修が終わった帰りに移っていた。


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