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その二

それから三日が経過していた

横島達やGS達の捜索の甲斐も無く、犬飼の行方は掴めない

毎日不規則な場所で深夜に人を斬り続けている以外に目撃情報すら無かった

魔鈴とタマモが与えたダメージの回復に専念しているようで、かなり慎重に行動しているようである



そんな中、カオスとジロウが中心になり犬飼の行動予測も行われていた


「一応行動予測は出来たが、いかんせんデータ不足じゃ。 確率が悪いし場所も四ヶ所ほどある」

カオスが示した地点は、東京23区内の四ヶ所であった


「本来なら森に近い場所の可能性が高いのだが、犬飼は人が多い場所をあえて選んでるように見える。 恐らく私達人狼族の捜索の裏をかいた行動だろう」

ジロウは人狼族の視点から犬飼の行動予測に協力していたが、未来とは違い最初に手傷を負ったためかなり慎重になっていたのだ


「四ヶ所ですか… 西条さんに頼んでバラバラに捜索してみるしかないですね」

「問題はどうやって人の居ない場所で戦うかだよな~ 都内で八房なんか振り回されたら、どれだけ被害が出るやら」

魔鈴と横島はカオスの話を聞き、犬飼とどうやって戦うか悩む


倒すの自体はフェンリルにさえならなければ問題は無いのだが、犬飼はあえて人が多い場所を選んでいる

その結果戦闘になれば、横島や魔鈴は一般人を守りながら戦わねばならない

すると最悪人質など取られたら勝敗すら危うくなってしまうのだ


「超加速で先制攻撃して決めるか、文珠で結界を張って犬飼を閉じ込めるかすればいいんだけど」

実は横島としては、手段さえ選ばなければ方法はあった


「しかし、超加速と文珠は出来るだけ人に見せないようにしなければダメですしね」

横島と魔鈴の秘密である真の不老不死に繋がる可能性のある超加速は、出来るだけ他人に見せたくないし

それに文珠も対アシュタロス戦の切り札になるのだから、出来る限り秘密にしたい

従って横島達としては、この二つの切り札を抜きにして犬飼を倒したいのだった


「拙者の体さえ成長すれば…」

シロは子供の体を成長させようと毎日父と修行に励んでいるが、そう簡単に急激な成長などするはずがない


「私の幻術で犬飼を抑えればいいじゃない」
 
ずっと横島達の話を聞いていたタマモは、自分も参加する気でいた


「お前とシロは参加させる気は無いよ。 お前達はまだ本調子じゃないし、それに俺はお前らをGSに関わらせる気は無いって言ったろ?」

自分達も何か力になれないかと考えていたタマモとシロに対して、横島はハッキリと言い切る


「この状況でもあの約束を続けるの!?」

横島の予想外の言葉に、タマモは驚いて目を見開く


「そのつもりだよ。 幸い今回はシロの親父さんも居るしな。 めぐみとマリアと四人でなんとかする」

真剣に語る横島だが、タマモとシロはあまり納得がいかないようで複雑な表情のままだ


「でも、先生……」

横島の気持ちはよく理解してるシロだが、それでも共に戦いたいと言う気持ちが強い


「とりあえず今回は我慢してくれ。 いずれ嫌でも力を借りるかもしれんしな…」

不満そうな二人をなんとか宥めて、今回はタマモとシロは留守番に決まった


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