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二年目の春・2

無事に魔法習得をした少女達だが、彼女達の日常はそれからも全く変わることなく平穏で賑やかな日々が続いていた。

唯一変わったことと言えば時が過ぎるに従ってやる気が無くなりつつあった魔法の練習に対する熱意は取り戻しはしたものの、勉強に部活にバイトに趣味にと忙しい少女達なだけに練習時間は増えることはなかった。

ちなみに横島の仙人発言は一度落ち着くとまた新しい事実かという程度であり、やはりアシュタロスの遺産やハニワ兵のインパクトに比べると驚きは薄いと言わざるを得ない。

刀子でさえ横島の不自然なまでの実力はどう受け止めていいか分からないほどで、何か横島には他の人にはない特殊能力のようなものがあるのではという考察をしている程度になる。

まあ少女達からすると横島が変なのは今に始まったことではく、過去の恋愛話でも出ればまた別の反応をするのだろうが魔法関連の話は理解出来ないレベルだと半ば諦めにも達観したようにも受け止めて終わりだった。

そもそも明日菜や桜子にさよなんかは弱いよりはいいんじゃないと単純に考えて終わりであるし。



そしてそれから数日が過ぎると麻帆良学園の各校では順次入学式が行われていた。

少し大きめの真新しい制服に袖を通した子供達が希望に胸を膨らませ学校に登校する様子は、個性的な麻帆良学園の生徒と見て区別出来るほどに初々しさがある。

だがそんな初々しさが見れるのも短い期間であり、五月になる頃には区別が難しくなる。

なお麻帆良では最初の入学式が始まる日から商店街組合を中心に、《ご入学お祝いウィーク》なるものが行われる。

秋に行われるハロウィンウィークのような派手なイベントではないが、新たに麻帆良にやって来た人達を歓迎する意味もあり商店街では安売りや細々としたイベントがあるらしい。

他にもこのご入学お祝いウィークは麻帆良学園のサークルが新規メンバー募集を始める期間であり、大学部のサークルなんかは派手なイベントや体験入部などを行っているとのこと。


「つい最近まで春祭りやってたのにまた祭りか?」

「これは商店街のイベントというかセールなのです。 昨年は開店したばかりだったので参加する余裕も必要もありませんでしたが今年は参加しませんと。」

桜の花も一部の遅咲きの品種以外はとうとう散ってしまった。

春祭りも終わりようやく日常に戻るかと思われたが、二年目の今年は春の商店街のイベントに参加しなくてはならないらしい。

横島はあまり興味がなかったらしく例によって夕映達に丸投げしていたが、夕映とのどかが参加する方向で計画を立てて主催している商店街組合との話し合いも済ませていた。


「まっ、別に割り引きくらいなら構わんが。」

ただ一応喫茶店であるマホラカフェでは過剰なイベントやセールをする必要はなく、日替わりで人気スイーツを割り引きすることにしている。

通常菓子店なんかは商品の割り引きで喫茶店なんかは飲み物のサービスか割り引きがほとんどらしいので、横島の店では主力のスイーツを割り引きすることにしたようだ。


「そういや、新入生はあんまり店に来ないな? もうほとんど引っ越して来たんだろ?」

「すでにほとんどの新入生はは引っ越しを終えてますが、この時期だとまだ外に行く余裕はないかと。 基本的に寮は外に出なくても生活には困りませんし。」

現状では横島の店でも今年度の新入生はほとんど来てなく、他の一般的な店ならば尚更まだ新入生が来る時期ではない。

今は学校に通う準備や寮生活に慣れるので大変な時期であり、ご入学お祝いウィークはそんな学生達に街に来てもらおうという主旨もある。

元々麻帆良は学園の為に形成された街なので街全体で新入生を歓迎し育てようという意識が今も残るようであった。




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