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真の歴史へ

美智恵は隠れる必要が無いのに姿を消した

そして美智恵が姿を消す理由を考えれば、令子に関してしか無い

未来に比べて未熟で弱い令子に、アシュタロス一派との戦いの前に試練を与えようとしているのだとルシオラは考えていた


「試練か…」

横島は言葉少なく呟き、ため息をはく


未来と今の令子を同じ現時点で比べれば、明らかに今の令子が劣っている

霊能力などは、妙神山にも行っているし比較的変わらない

だが、経験と精神が未熟なのだ

美智恵がそれを鍛えようとしているのは理解出来る


しかし横島にしてみれば、その前にあのどうしようもない性格を、治して欲しいと思っている


「結局、美智恵さんは変わらないな…。 何を犠牲にしても、自分達だけは必ず生き残るつもりなんだな…」

横島は美智恵に呆れていた



ここで時は4日ほど前に遡る

美智恵は、出張でニューヨークに向かう前に西条を呼んでいた

西条が来ると美智恵は険しい表情で問いかける

「西条君…、あなたはこれから先何があろうとも、私や令子の味方で居てくれる?」
西条は突然の言葉の意味を理解出来ずに少し考え込む

美智恵の表情は険しく真剣だ

話が冗談ではないのは西条にはよく理解出来た


「僕は…、先生や令子ちゃんの味方です」

西条は性格上こう返事するしか選択は無かった

恩師であり上司でもある美智恵

妹のような存在であり、愛しい存在でもある令子

西条はこの2人を裏切ることは無いと本気で思う


だが彼はこの意味を知らないまま決断してしまう


「よろしい。 西条君、今あなたに私の秘密を話します。 私には隠された能力があります。 それは因果率を覆す究極の能力です」

美智恵は西条の言葉を聞いて話し出す


「因果率……まさか、時間移動ですか!?」

西条は信じられない思いでいっぱいだった

時間移動の能力自体はあると言われているが、人類史上実例が無い

歴史上、オカルトの能力は異端視されて来た

ヨーロッパの魔女狩りのように…


その為、オカルトに関する記録は驚くほど少ない

バチカンなどの一部の宗教はいろいろ記録を持つが、決して公開はしない


そのオカルトの能力の中でも、特に危険視されて来たのが時間移動である

実在すると言う伝説のみが伝わる究極の能力


現代では信じない人も多い能力である


「そうよ… 私の家系にはごくまれに時間移動の能力を持つ者が現れるの。 私もその一人よ」

西条は信じない思いで美智恵を見つめる

「時間移動は最高難易度の能力よ。 ただでさえ珍しい能力なのに、能力を持つ人間の中でも実際に使えるのはまた少数…。 私の家系もこの秘密は絶対に隠して来ました。 時間移動能力の家系は魔族に見つかれば皆殺しにされるから」

美智恵は険しい表情のまま話していくが…

肝心の魔族に狙われる理由は話さない

その理由が令子であり、その魂に眠る結晶である真実を


「先生にそんな秘密があったとは…。 では、最近まで死んだことにしていたのも……」

西条の中で美智恵の謎が繋がる

何故美智恵が死んだことになっていたかが…


「ええ、それも魔族が理由よ。 私は魔族に見つかってしまったの。 魔族の目を欺き、令子を守る為に死んだ振りをしていたのよ」

美智恵は西条が自分の理想通りの結論にたどり着いて内心ほくそ笑んだ


最大の秘密

狙われる理由と未来の真実を隠せたことに…


「そんな大変なことがあったなんて…」

西条は今まで自分が知らなかったことに愕然としている


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