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その二

「では詳しい話に入っていいかい?」

令子とエミがある程度納得した様子なのを見た西条は、詳しい捜索方法などの話し合いに入る


「人狼族の協力の元、似顔絵を作成した。 これと前回の犠牲者が出た地点を中心に捜索に当たって欲しい」

似顔絵や犬飼の情報を纏めた資料を令子達に配り説明する西条だが、雪之丞とピートとタイガーには資料を配らなかった


「旦那、俺達にも資料をくれよ」

無視された雪之丞は、少し不満そうに西条に資料を要求する


「悪いが君達未成年や学生は参加させられない。 謝礼は僕個人が出すが、基本的にはオカルトGメンの正式任務にGSが協力する形になる。 万が一を考えれば君達は参加させられない」

西条は未来と同じく、未成年や学生のメンバーを使う気は無いようだ

まあ、この辺りは責任問題や社会的モラルを考えれば当然の対処だろう


「なんで横島は良くて俺はダメなんだよ!」

「横島君は君達の中でただ一人GSの正式免許を持ってるし、オカルトGメンに協力してくれた前例があるんだ。 それに魔鈴事務所は人狼族からの依頼として動くから、どちらにしても彼は関わるのだよ」

苛立つ雪之丞に西条は少しため息をはき説明するが、雪之丞は納得する様子は無い


「君の実力は聞いているが、問題は実力ではないのだよ。 オカルトGメンはICPOの所管だ。 見習いの未成年を簡単に使えないんだ。 今回は特にGS協会との共同作戦になる。 僕の独断で見習いは使えない」

きっぱりと言い切る西条を雪之丞は睨みつけるが…


「雪之丞君、少し落ち着きたまえ。 西条君の立場ではそうするしかないのだよ。 彼とて本心では喉から手が出るほど人手が欲しいはずだ」

西条と雪之丞の間に入り止めたのは唐巣である

雪之丞も唐巣にそこまで言われると、それ以上言えないようでふて腐れたようにそっぽを向く



一方そんな二人の言い争いを見ていた横島は、ふと未来を思い出していた

(あの時は気付かなかったけど、西条が俺達学生に帰れと言ったのは深い理由があったんだな…)

未来では何も理由を言わずに帰れと言われて従った横島達

雪之丞のように犬飼と戦いたい訳でもないため、理由は聞かなかったのだ


(個人的感情が入らなきゃ常識的な奴なんだよな…)

第三者的視点から見ると、西条の行動は意外とまともだったのだと横島は改めて実感していた



「さて捜索だが、二人一組になって行動してほしい。 令子ちゃんは六道さんと、神父は小笠原さんと、魔鈴君は横島君とでお願いします」

西条は少しでもリスクを減らす為に、捜索するメンバーを二人一組で組ませることに決めている


「ゲッ… 冥子と一緒なの?」

「久しぶりに令子ちゃんと仕事が出来て嬉しいわ~」

あからさまに嫌そうな顔をする令子と、逆にニコニコと嬉しそうな冥子は対照的であった


「済まないが、人選はこちらで決めさせてもらった。 よろしく頼む」

少し令子に申し訳なさそうな視線を送る西条

この組み合わせの重要なポイントはもちろん冥子の存在である


歩く核弾頭とも噂される冥子だが、彼女の式神の能力はやはり優秀なのだ

捜索など非戦闘時は特に期待出来る


そしてそんな冥子をある程度コントロール出来るのは令子しかいない

何よりもまずそこが最初に判断されていた

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