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二年目の春・2

その後あやかが戻って来たことでタマモもお花見を満喫するように観桜会の会場を駆け回り、招待客の人達にはまるで昔の明日菜のようだと言われていた。

タマモの他にも子供は何人か来てるが自由に走り回る子供は誰もおらず、きちんと躾というか教育されてるようで行儀がいいのだ。

まあみんな親戚縁者やグループ企業の重役の子供なので失礼があってはならないからと、親の方が自由にさせないと言った方が正しいのかもしれないが。


「タマモちゃんは元気でいいな。」

ただ雪広家現当主である清十郎は、かつての明日菜やタマモのように自由活発な子供が好きで可愛がる傾向がある。

無論今日の招待客などはそれを理解してはいるものの、立場上自らの子供や孫に同じことをさせようとは流石に思わないらしい。

万が一にも怒りを買えばと思うと出来ないと言った方が正しいのだが。


「さくらさんもね、みんなでおはなみしてくれるのうれしいんだって!」

「そうか、そうか。 桜も喜んどるか。」

そのままタマモは清十郎を雪広のおじいちゃんと呼び、まるで自分の祖父のように甘え笑顔を見せると清十郎もまた嬉しそうにタマモを抱き抱えて一緒に桜を眺める。

途中タマモはまた桜の声を聞いたのか、その言葉を代弁すると近くに居た明日菜や木乃香は少し慌てていたが。

しかしそれを一般人は誰も信じないと理解する横島や清十郎は特に慌てることなく、特に清十郎はタマモの話に普通に付き合っていたものの周囲の誰もがタマモが語ったことが真実だとは気付くことはなかった。

もちろん清十郎自身はタマモの言葉が真実であることに気付いているが。


「私の勝ちー!!」

「君凄いね。」

そしてもう一人幼い明日菜やタマモと同様に自由奔放な少女が招待客の人目を集めていた。

誰が始めたのか分からないがポーカーで勝負をしていた大人達に混じり、桜子が持ち前の強運と天真爛漫さを発揮していたのだ。

女子中等部辺りだと有名な桜子の強運もさすがに雪広家関係者には知られてなかったらしく、連勝街道を突っ走って注目を集めている。


「桜子はいつの間にか大人の人達と馴染んでるし。」

「あの性格も運を呼び込む一因だろうなぁ。」

一方横島は美砂・円・夕映・のどか・さよなんかと共にいち早く周囲に溶け込んでいる桜子に感心していた。

異空間アジトでもそうだったが桜子は基本的に周囲への適応力が高く、何処に行っても溶け込むのが上手い。

元々運がいいのは桜子の本質的な才能の一つであり、横島の世界ならば霊能の才能とも言えるものになる。

だがしかし幸運というのはある程度本人の行動や思考により呼び込むなり逃すものなので、桜子の凄いところは無意識に自身の才能を生かしてることだと横島は見ていた。


「桜子ちゃんなら大丈夫だろうけど、あんまり運が片寄るとバランスがな。」

尤も運が良すぎるのも良し悪しという部分があり、あまり片寄ると本人はもちろんのこと周囲に悪運を招くことにもなりかねない。

横島もそれとなく気にしてはいるがこの世界の桜子は横島の影響も強く受けているので、少なくとも横島の影響が及ぶ範囲に悪影響はなかったが。




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